2014年6月9日

 ようやくでした。まだ少し疲れが残っている感じかな。これからが本番なのに、それではいけませんね。

 終了後、参加しておられた安全保障論を専門とする学者の方が、「こんな種類の取り組みは初めてです。そこがすばらしい」と言っておられました。何が初めてかというと、護憲というものと安全保障が結びついたのが初めてだ、ということでした。

 そうなんです。これまで「護憲」というと、それは自衛隊を否定することでした。自衛隊を否定するわけですから、安全保障といっても、自衛隊を使わない範囲での議論となり、おのずと制約があったのですね。安全保障を専門とする方から見ると、そういう種類のものを安全保障とは言わない。

 そこを自然に議論できたことが良かったです。終了後の懇親会があり、自衛隊の東北方面総監の渡辺さんも参加されたのですが、そのまわりに旧来からの護憲派がいて、尖閣防衛をどうするのか、制空権と制海権はどうなっているのか等々、真剣に議論していたのも印象的でした。

 護憲派が軍事戦略を議論する時代をつくるのが私の願いだったので、その方向には動き始めたと感じます。まだまだこれからですけどね。

 多くの人には、まだ、9条というものと防衛というものは、結びついていません。結びつけて議論することに違和感を感じています。

 だから、この「会」のことがようやく報道されるようになり、実際にそれを目で見て、いまはクエスチョンマークが頭のなかを飛び交うという状況でしょう。だけど、これからの活動を通して、それを結びつけるいろんな考え方や材料が提示されていくと思います。

 発足が遅かったというご意見もありました。安倍さんが閣議決定を強行しようとしていますからね。だけど、「会」が発足するには、これだけの時間は必要だったと思います。これより早かったら、おそらく熟成度が足らずに、十分なものがつくれなかった。これより遅くなったら、本当に遅すぎたことになります。

 安倍さんがいろいろやっているからこそ、それに対抗する軸として、考え、提言していく価値があるのだと思います。引き続くご支援をお願いします。

2014年6月6日

 昨晩、ある新聞記者と会っていた。集団的自衛権をめぐる政治の動きについて、いろいろ教えてもらい、意見を交換するためである。

 どう判断していいものか、情報が錯綜している。相矛盾するような情報もある。

 これまで2年後のダブル選挙だと言われていたが、総選挙が早まるという情報がある。時期を選べる総選挙を、自民党がどんな位置に置かれているか判断できない2年後に持ってきては、不利になるかもいれないという思惑があるというのだ。これって、しかも、集団的自衛権の閣議決定を強行して、そのあとに総選挙ということになると、いまの野党の現状では集団的自衛権の閣議決定を覆すための内閣なんてできそうになく、閣議決定を世論が追認したと言われるような選挙になるかもしれない。なんとなくイヤな予感だ。

 一方、安倍さんは追い詰められているという情報もある。一般的に世論が離反しているというのではなく、あのASKA容疑者と安倍さんの絡みの話しだ。安倍さんの次は見えないが、とにかく安倍さんを降ろさないとダメだということでアメリカが動き始めているということとか(これ自体は複数の情報がある)、現在の内閣法制局長官の出身官庁を見ると誰が追い詰めているのか分かるのだとか、まあいろいろ。

 だけどこれも、追い詰められれば追い詰められるほど、安倍さんは早く閣議決定をやるだろうという情報につながっていく。与党協議で、戦闘地域での後方支援という、ちょっと常識外れのことを持ちだし、公明党をびびらせているのも、見境がなくなっていることの反映だというんだけども、どうなんだろうか。

 北朝鮮の拉致問題が急に動き出したことにも、いろいろウラがあると観測する人もいるらしい。だけど、これは相手のあることで、安倍さんがコントロールできない要素が大きいので、素直に見ておきたい。核問題をあいまいにする懸念をアメリカが持っているというけれど、アメリカには核問題を解決するカードがないけれど、日本は、これが拉致問題とともに解決すれば、制裁の解除どころか、日朝平壌宣言で約束した多額の経済援助をするという有効なカードをもつ唯一の国なのだから、そういう自覚でがんばってほしい。

 ま、そういうことで、いろいろな要素があることを頭の隅に置きつつ、当面の仕事に全力です。内田樹さんと石川康宏さんの『若者よ マルクスを読もう Ⅱ』に取り組みつつ、午後は、明日の「自衛隊を活かす会」準備のため、中央即応集団司令官経験者のお話を聞きに行きます。

2014年6月5日

 昨晩、面白い話を、あるジャーナリストから聞きました。あの田母神さんが、「自衛隊を活かす会」の乗っ取りを策しているというんですよ。

 ぜんぜん信じられませんけどね。だって、この「会」のこと、まだそんなに知られていないし。

 でも、その情報によると、田母神さんというのは、細かなものも含めいろいろな情報を組織的に収拾し、政治の場で活用しようとしていているらしいんです。それで、この「会」を乗っ取ることができたら意味があると、そう判断したということでした。それで、「庇を貸して母屋を取られることがないように」と忠告されたんですけどね。

 もちろん、私個人としては、この「会」の活動のどこかで、改憲派との議論は必要だと思います。その場合の最有力候補が田母神さんであることは間違いありません。だから、田母神さんを引っ張り出すにはどうしたらいいか、いろんな方に接触したのは事実です。それが伝わったのかなあ。

 だけど、貸すほどの庇はないんですよ。まあ、「会」が注目され始めていることの証明ということで、気持ちよく受け取っておきましょう。

 忙しいので、本日はこれだけ。今夜は、集団的自衛権をめぐる情勢について、あるジャーナリストから情報収集と意見交換です。

2014年6月4日

 今週土曜日です。ホームページをごらんになっている方はお分かりでしょうが、定員を超えたので(はるかに超えたので入るかどうか心配)、申し込みは締め切りました。

 この間、事務局用の電話として公開した私の携帯には、国会議員とか防衛省・自衛隊の現役の方からも問い合わせ、参加申し込みがあったりしてびっくりでした。すごく期待されていますよね。警戒の声も一方からは聞こえてきたりしましたが。

 いま、当日の参加者名簿をつくっているんですが、受付がしやすいように肩書で分類しようと思っています。「自衛隊・防衛省関係者」という分類もできるほどなんです。いやあ、いちおうは「護憲」というか「超護憲」ですけど、そういうことを標榜している「会」のシンポでこんなことが可能になるなんて、半年ほどまでは現実味をもって考えることはできませんでした。

 申し訳ありませんが、ネットでの中継はやりません。参加者のなかには、誰が発言したかを特定されると困る方もいるんですよね。そういう方の自由な発言を保障したいんです。

 でも、ちゃんと記録して、それをホームページでちゃんと公開します。それをどこかから本にもします。できればうちから出したいですけど、自衛官がうちから出すのはハードルが高いんですよね。どこも引き受けてくれないということになれば、うちからでも仕方ないということになるとは思うんですが。

 ホームページを公開したとき、こんな立派なものができるのは、きっとウラに金持ちがついているだろうと言う人もいたんですが、全然そんなことはないんです。みんなボランティア。だけどお金のかかることはいろいろあって、本を出して印税が入らないと、呼びかけ人とか事務局とか、みんな自分のお小遣いがなくなっちゃうんですよ。

 というとで、がんばります。本日から東京に出てきています。

2014年6月3日

 与党協議の報道を聞いていても、先のことが見えてこない。公明党はどうするんだろうか。

 グレーゾーンの分野で自民党案を飲んだからといって、それだけで公明党を声高に批判するつもりはない。自衛隊の活動はどんなものでもダメという原理主義的な立場もあるだろうが、焦点は集団的自衛権の分野なのだから、グレーゾーンで譲歩することによってメリハリをつけ、集団的自衛権だけは飲めないと自民党に迫るやり方もあると思う。

 だけど、公明党ががんばり抜いたとして、どんな事態が先にあるのだろうか。安倍さんが閣議決定をあきらめるという選択肢は、まずあり得ないように思える。内閣支持率が下がっているので期待する向きもあるようだが、支持率が下がれば下がるほど早く閣議決定をしたいというのが、現在の安倍さんの心境のように思える。

 では、そういう局面で、公明党はどう出るのか。がんばり抜くということは、閣議で解釈改憲を決定するとき、それに反対することを意味する。

 この場合、公明党は内閣にいられなくなる。いわゆる閣内不一致が起こるからであって、その場合は、首相が公明党の大臣を罷免するわけだ。憲法第66条3項に「内閣は、行政権の行使について、国会に対して連帯して責任を負う」とあって、連帯責任の負えない大臣は大臣でなくなるということ。

 だけど一方で、山口党首は、政策の違いで連立を離脱することはないと言明している。与党のうまみは誰よりも感じでいることでもあろう。集団的自衛権の行使を認めたくないという考え方と、与党のうまみを失いたくないという希望と、その両方の狭間にあって苦しんでいるのが現在の公明党である。

 矛盾を解決する安直な手段は、「閣外協力」だろうか。憲法の基本原則で意見が違うのだから同じ内閣にいるわけはいかないが、協力することで与党的なうまみは味わえるかもしれない。そして、世論が沈静化するのをまって、そのうち与党に復帰するというシナリオかな。

 ま、こんなことを予想しても仕方ないのだが、集団的自衛権に反対するという考え方を貫いてほしいので、野党になる以外にも選択肢があることを言っておきたかった。世論は沈静化しないと確信するので、与党には復帰できないだろうから、次の選挙では自民党と対立する側に回ってほしいというのが希望なんだけど。

 安倍さんの動向からして、世論がどうなっても強行するだろう。だけど、世論が沸騰しているということは、閣議での強硬を妨げることができないような場合も、いろいろな効果があるということでもある。

 (追加)ついでに言えば、集団的自衛権でこける党が出ると、「あいつも悪いやつ、やはり護憲はオレだけ」みたいになってやりやすいと感じる人がいるかもしれない。だけど、集団的自衛権の行使を許さないためには、それに反対する党が多ければ多いほどいいのだという単純明快な事実は忘れてはならない。