2015年8月18日

 現実の運動が政治のありようを規定する。どんな運動が広がるかは、どんな政治を国民が求めているかを示している。

 60年の安保闘争。空前の大闘争だった。私はまだ保育園児で、炭鉱につとめていた父が参加するデモを、母に手を引かれて見に行った記憶がある。

 この闘争を主導したのは「安保改定阻止国民会議」だったが、その中心は総評であり、政党としては社会党と共産党だった。ただし、共産党は幹事団体に入れず、オブザーバー扱いにとどまる。

 この闘争を通じて、その当時の時点においてだが、政治を変える共闘はどういうものかが明らかになる。社会党と共産党を軸にして、労働組合をはじめいろいろな団体が共闘するかたちが必要だということになった。

 そして実際に、地方政治のレベルではそういう共闘が実現し、政治の担い手となっていく。革新自治体とよばれた自治体は、東京都、大阪府、京都府をはじめ人口で半数を擁するような広がりを見せた。

 これを国政レベルにということが70年代に焦点となる。革新共闘、革新統一戦線という言葉も生まれる。だけど、なかなか複雑な経過があって、それは実現しなかった。

 今回の新安保法制の闘争。現実に闘われている運動は、60年安保闘争とはまったく異なっている。

 突然あらわれたSEALsをはじめ、市民運動が主役である。多くの運動参加者は、「革新」といわれるのを拒否するだろう。そうした運動が主催する集会に、いろいろな政党が参加し、挨拶させてもらうという関係だ。

 おそらく、新安保法制が通るならそれを廃止するために、通らないなら引き続き阻止するため、この運動がさらに広がっていく。法案の行方にかかわらず、この運動が、政治のベースになっていく。

 この運動が求める政権共闘はどんなものか。そこを見極めることが、今後の政治と運動を切り開くことになるのではないか。現時点で、まだ「これだ」とは言えないけど。

 だけど、山形市長選挙は、少し面白そうだ。民主、社民、生活、共産の推す梅津候補が、自民、公明の候補と一騎打ち。維新は自主投票だが、幹事長が梅津候補の事務所に応援に行ったりしている。

 この候補、元防衛省職員だ。そして、大学(慶應義塾)では、小林節さんの愛弟子だという。なんとなく、現在の運動と親和性があると思いませんか?