2015年7月31日

 火曜日から東京に来ています。日曜日まで。

 出張中であっても、仕事の内容は変わらないんですよね。だから、本のチラシなんかも、自分で作成しなければなりません。

チラシ安倍談話表

 ということで、自分の本のチラシです。自分がいちばん中身を分かっているとはいえ、自分の本の宣伝文句を自分でつくるって、変ですね。以下が宣伝文句。

正義の戦争という本音(裏)と建前(表)としての侵略──。
その矛盾が象徴する安倍首相の歴史認識を問う。侵略の定義はどうやって形成されてきたか。その発展過程から見て日本の戦争と東京裁判はどう評価されるのか。植民地にならなかった誇りと、隣国を支配した悔悟をどう統一的に把握すべきか。
裏も表も批判的に考察する見地で、新しい論点を提示する。

 そうなんです。安倍さんの本音を批判するんですけど、侵略と植民地支配を認めるという建前も批判したいんです。

 というか、宣伝文句にもあるように、「誇り」と「悔悟」を統一的に把握することに挑戦してみたい。もっと勉強して、そのうち、自分なりの「歴史観」と呼べるものにしたい。

 なんて野望をもっているんですけど。まあ、その第一弾です。

 刊行されたばかりの中公新書『「歴史認識」とは何か』(大沼保昭、聞き手は江川紹子)が、すぐに増刷になったということです。柳の下にドジョウがいるか。

2015年7月30日

 来年3月23日から31日までの標記の旅について、近くチラシを作成するので、以下の文章を書きました。イギリスの旅の値段が高くて、37万とか38万くらいになりそうです。

 お二人がマルクスの著作について往復書簡を交わす──。そういうコンセプトではじまったのが『若者よ、マルクスを読もう』です。その第一巻が出たのが5年前、第二巻が昨年。これからも、エンゲルスを取り上げたり、『資本論』に挑んだりと、まだまだつづく予定です。

 その途上に、どうしても著者と一緒に、ドイツとイギリスに行きたくなりました。だって、この本を読んでいると、マルクスの息づかいが聞こえてくるんですよ。ドイツ革命を成功させるため実践面でも理論面でも自分を飛躍させようと自分にむち打つ姿とか、身体をボロボロにして働く労働者を思いやる深い愛情とか。目の前にマルクスがいるような気持ちになるのは、私だけではないでしょう。

 実際に私たちが生きている現代でも、生きたマルクスを必要とする場面がありますよね。貧困と格差が広がる社会をどう変革するのかという問題は当然として、TPPのように資本が国境を越えて経済を支配するさまを見ると、「万国の労働者、団結せよ!」こそが対抗策だと思えてきます。

 だから、マルクスをもっと身近に感じることで、もっとマルクスを自分のものにできないかと思ったんです。だったら、こっちからマルクスを訪ねるしかないでしょ。

 ということで、超忙しい著者のお二人に無理をお願いし、スケジュールを調整して頂き、ようやく実現しました。こんな旅は二度とできません。

 まずドイツ。マルクスが生まれたトリーアです。ここにあるマルクスの生家は、博物館になっています。ドイツ政府の観光局の方がここを見て、「マルクスのファンになった」というぐらいの充実ぶり。期待が高まりますね。

 この一帯はラインラントと言って、フランスに隣接して革命思想の影響も強く、マルクスは1848年革命のなかで、ケルンにおいて「新ライン新聞」を出したりしました。私たちの旅は、フランクフルトに行きます。48年革命で目標とされた憲法が審議されたけれど、革命の終焉地でもあります。この憲法の起草委員には、あのグリム兄弟のお兄さんがいたのですが、もしかしたら同行する池田香代子さんが、「48年革命におけるグリムとマルクス」の講演をしてくださるかもしれません。乞うご期待。

 ドイツが終わったら、イギリスへ。まずはマンチェスターです。エンゲルスが工場を経営していた場所ですね。当時の紡績工場の様子が分かる博物館があるんです。そのままリバプールに行って、奴隷貿易の実態も学びます。リバプールといえばビートルズですけど、何か企画しましょうか?

 そして最後はロンドン。国際労働者協会が会議をしていた場所とか(現在はレストラン)、貧困のなかでマルクスが暮らしていた家とかを回ります。最後は、やはりお墓に花でも手向けましょう。

 内田さんも石川さんも、はじめて行く場所ばかり。きっとインスピレーションが湧いてきて、そこで交わされる会話から、次の本が生まれてくるかもしれませんね。ツアー参加者は、本ができる前に、それを味わえるわけです。

 こう紹介すると仕事ばっかりのようですが、ほとんどの場所は有名な世界遺産があるところ。それもたっぷり時間をとります。お楽しみに。

2015年7月28日

 本日、「自衛隊を活かす会」のシンポジウムです。「新安保法制にはまだまだ議論すべき点が残されている」がテーマ。参議院の審議が開始されたところですから、我ながら、ピッタリでしたね。事前予約の人数、これまでで最多になりました。

 シンポの中心は、ゲストの発言と、「会」の呼びかけ人との議論になります。ゲストはご存じのように、冨澤暉さん(元陸自幕僚長)、渡邊隆さん(元陸将)、林吉永さん(元空将補)。新安保法制に対する立場はそれぞれ異なりますが、このテーマでの議論が必要だということでは一致し、お呼びすることになりました。

 今回、政党代表をお招きし、ご挨拶をいただくことにしました。防衛の現場の声を法案審議に反映したいとですからね。

 ところが、いまのところ、与党からは音沙汰なしです。自民党も公明党も、自衛官の声さえ聞く余裕がないんでしょうか。会場に来られるのであれば、ご挨拶をお願いしますので、是非、どうぞ。

 民主、維新、共産、生活、元気の各党からはご挨拶をいただく予定です。よろしくお願いします。

 では、間に合うように新幹線に乗らなければ。行ってきます。

2015年7月27日

 書いてきた安倍談話論、タイトルは『安倍談話の裏表 歴史認識をめぐる40章』にするつもり。以下、長いけど、章のタイトル。まだ書けていないのは、まえがき、あとがき、各部のはじめに。これは、実際に談話が出てから書きます。

まえがき

一、侵略の定義は定まっていないのか
はじめに
第1章 「侵略」という用語は、いつ誕生したのでしょうか。それ以前は「侵略」は存在しなかったのですか。
第2章 「侵略」という用語がベルサイユ条約にあらわれたのには、どのような事情があったのでしょうか。
第3章 「侵略」の定義が固まるのは、いつ、どんな文書によってなのですか。どんな経過をたどるのですか。
第4章 国連憲章では「侵略」はどのように定義されているのですか。それはどのような考え方にもとづくものですか。
第5章 戦後ずっと侵略の罪を裁く機運がしぼんでいたのに、国連総会で「侵略の定義」決議ができたのはなぜですか。
第6章 「侵略の定義」決議の概要を教えてください。この決議のどこが重要ですか。問題点はあるのですか。
第7章 「侵略の定義」決議は簡単に合意できたのですか。作成過程では、どんなことが議論になったのですか。
第8章 「武力攻撃」と「武力の行使」という言葉が出てきますが、これは同じものですか、違うものですか。
第9章 国連総会決議では拘束力がないという問題は、国際刑事裁判所規程によって克服されたのでしょうか。
第10章 侵略を認定する安保理の権限と、侵略を裁く国際刑事裁判所の関係は、結局どうなったのでしょうか。

二、日本の戦争はなぜ侵略といわれるのか
はじめに 
第11章 第一部で見た「侵略の定義」から見て、一九三一年にはじまる日本の戦争はどう評価されますか。
第12章 アメリカの経済制裁で日本は開戦に追い込まれました。中国の挑発もありました。両国に責任はないのですか。
第13章 サンフランシスコ条約には日本の侵略を認定する条項がありません。何か理由があるのですか。
第14章 日本はアジア解放の戦争をしたし、実際にアジア諸国は欧米支配から解放された、という人がいますが。
第15章 日本やドイツの侵略であったとしても、占領後に国内体制まで変えたのはやりすぎではないでしょうか。
第16章 日本軍国主義とドイツファシズムに対し、自由主義の勢力が戦ったという見方は単純ではないか。
第17章 第二次大戦後の国際秩序は、日本やドイツの侵略を批判することが前提になっているのですか。
第18章 非自民の細川首相は侵略戦争だと認めたそうですが、それ以前の自民党首相は何といっていたのですか。
第19章 「後世の歴史家が判断する」のも一理あるように思えます。時々の政治が侵略かどうかを判断していいのですか。
第20章 村山談話はどこに意味があるのですか。その後の日本政府は、村山談話を受け継いでいるのですか。

三、東京裁判は本当に正しかったのか
はじめに
第21章 戦後、東京裁判をはじめ戦争犯罪人を裁く裁判が多くやられたと聞きますが、概要を教えてください。
第22章 あの戦争が侵略であるとしても、勝者が勝手に罪をつくって裁いたのは、問題があったのではないでしょうか。
第23章 通例の戦争犯罪が裁かれるのは当然だが、平和に対する罪を裁くのは無理があったのではないですか。
第24章 東京裁判ではインドのパール博士が日本無罪の意見を書いたことが有名ですが、どう考えるべきですか。
第25章 日本はナチスのように人道に対する罪は犯していません。ナチスと同列においてはダメだと考えますが。
第26章 アメリカの原爆投下や東京大空襲なども許されません。日本だけを悪者にするのはおかしいと思いますが。
第27章 罪もない人が裁かれたと言われる一方、天皇の責任は不問に付されました。理不尽ではありませんか。
第28章 ドイツは責任を認めた模範という人もいれば、ナチスに責任を押しつけただけと批判する人もいますが。
第29章 本来は日本が自分で裁判すべきだったのではないでしょうか。ドイツは自国でも裁判をしていますが。
第30章 戦争や植民地支配の直接の当事者ではない世代も戦争責任を自覚し、謝罪しなければならないのですか。

四、日本の植民地支配のどこが問題か
はじめに
第31章 世界中が欧米列強の植民地とされるなかで、日本がそうならなかったことは、誇っていいと思いますが。
第32章 日本の朝鮮半島植民地支配が違法だったか合法だったかの論争があるそうですが、どういうものですか。
第33章 植民地支配ということでは欧米が先輩格なのに、日本だけが責められていると感じますが、違いますか。
第34章 欧米は植民地を差別したが、日本は朝鮮人を日本人と同等に扱ったので、欧米とは違いがあるのでは。
第35章 日本は朝鮮半島で教育制度もつくり、インフラも整備したので、近代化に貢献したという人がいますが。
第36章 安重根について、日本政府は犯罪者だといい、韓国政府は独立運動の英雄だといって対立していますが。
第37章 明治の産業革命遺産が世界遺産に登録される際、朝鮮人強制労働が問題になりました。どう考えますか。
第38章 従軍慰安婦問題はあれほど議論されながら、いまだに解決していません。どうすればいいのでしょうか。
第39章 竹島問題にも日本の植民地支配がかかわっていると聞いたことがありますが、どういうことですか。
第40章 日韓の深刻な対立を見ていると、はたして問題が解決する日がくるのか、希望が見えてきません。

あとがき

2015年7月25日

 「週末に読みたいこの1冊」ということで、私の『慰安婦問題をこれで終わらせる。』が取り上げられています。そのタイトルからすると、週明けにはなくなるかもしれず、ご紹介しておきます。