2014年8月8日

 14年ほど前から本を書き始め、当初は年1冊ペースでしたが、昨年は平凡社新書から2冊になりました。今年は、自分の出版社から2冊です。2冊目がこれです。『13歳からの領土問題』。

チラシ13歳からの領土問題

 これ、「13歳からの…」シリーズなんです。これまで、『13歳からの平和教室』(浅井基文)、『13歳からのテロ問題』(加藤朗)、『13歳からの拉致問題』(蓮池透)と出してきました。

 来年は、これにふたつが加わる予定。『13歳からの税金教室』、『13歳からの日本国憲法』です。そうなったら、合計6冊にもなるから、セットにして学校に本格的に販売できるようになると思います。司書のみなさん、その際はよろしくお願いします。

 『13歳からの領土問題』は、もともと、学校図書館向けに発行した『領土を考える』(上中下)をベースにしています。これは、私が原稿を書いて、塚本孝先生に監修をしていただいたものです。

 塚本先生は、現在は東海大学で国際法を教えておられますが、数年前までは国会図書館で研究職をしておられました。外交防衛課長とかね。とりわけ領土問題、そのなかでも竹島問題では、日本の最高権威だと思います。

 その先生の監修を受ける過程で、自分の領土問題の知識の不正確なところとか、考えの浅いとことかを教えてもらい、すごく勉強になったんです。『13歳からの領土問題』には、だから、中学生や高校生が領土問題を学ぶうえで、間違えのない知識がぎっしりとつまっています。

 同時に、その領土問題に興味をもてるよう、事例とか豆知識的なこととか、いっぱい工夫しました。来月頃、この本、読者プレゼントも実施しますので、楽しみにしてお待ちください。中学生、高校生のお子さんがいる人に限定かな。

2014年8月7日

 内田樹さんと石川康宏さんの共著の第2巻目、いよいよです。9月上旬に書店に並ぶと思います。

w00043109

 第1巻は、サブタイトルが「20歳代の模索と挑戦」とあったように、マルクス20歳代の4つの著作をとりあげ、お二人が往復書簡で語り合うものでした。20歳代といっても、29歳で『共産党宣言』を書いたわけですから、すごいですよね。

 今回の第2巻は、年齢的にいうと30歳代から40歳代になるでしょうか。とりあげられる著作は、『フランスにおける階級闘争』『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』『賃金、価格および利潤』となります。

 書簡のやりとりが開始された直後、私は、3つめは『フランスにおける内乱』にした方がいいと思ったんです。だって、それでフランス3部作をいっきょにとりあげることになりますし、それ以上に、3.11後、日本の変革のありかたが模索されているもとで、階級闘争論・革命論でそろえることが適切なのではと考えたからです。

 でも、石川さんが、いろいろ考えた末に、やはりマルクスの成長にそって書いてみたいとおっしゃって、執筆された著作の順序に論じることになりました。でも、結果として、それでよかったんです。

 『賃金・価格・利潤』って、私の想定では、マルクス経済学の基本的な考え方を論じあうものになる予定でした。もちろん、そういう部分もあります。

 だけど、前回著作いらいの数年間で、ブラック企業という言葉が生まれたことに象徴されるように、マルクス主義でなければ説明できないような事態が目の前で進行してきました。だから、『賃金・価格・利潤』が、目の前の日本の変革を論じ合ううえで、いちばんホットな著作として浮上したわけですね。

 そういう事情があるものだから、この書簡のやりとりの途中で、朝日カルチャーセンター(中之島教室)が、お二人を呼んで対談させたんです。そのテーマが、「若者よ、いまこそマルクスを読もう 蘇るマルクス・レーニン主義」というものでした。

 そうなんです。マルクス主義が蘇ってきている。目の前の経済現象がマルクス主義で解明しなければならないこともありますが、その打開策にもマルクス主義が求められている。グローバリズムに対抗できるのは、「万国の労働者、団結せよ」という員他ナショナリズムしかないという現実がある。

 ということで、この対談も収録し、今回のサブタイトルは「蘇るマルクス主義」とつけさせてもらいました。そこが第1巻と異なるところで、だから本の帯には、「この第2巻から読みなさい」とつけています。どうぞ手に取ってみてください。

 

2014年8月6日

 昨日は、本の販売がてら、集団的自衛権の分科会に参加してきた。助言者は神戸大学名誉教授の和田進先生。書いたものに接することはよくあったけど、お話を伺うのははじめて。いやあ、理論派だと思っていたら、アジテーターでもあった。いつも理論とともに運動のこともよく考えておられるんだね。お近づきにならなくちゃ。

 原水禁大会で集団的自衛権をとりあげるって、大事なことである。両者は「抑止力」で共通している。核兵器が抑止力として誇示されていることはいうまでもないが、安倍さんが集団的自衛権の行使に踏み込むのも、それによってアメリカに恩を売ることで、アメリカの抑止力への依存をたしかなものにしたいと願うからである。

 ところで、その集団的自衛権について、今年の長崎市の平和宣言ではふれられるが、広島市の平和宣言ではふれられないらしい。核抑止と集団的自衛権の関係って、そういえばあまり議論されてこなかったことが、その違いに反映しているかもしれないね。もっと深めないといけないかも。

 と思っていたら、本日の中国新聞によると、広島市は、来年のサミットを広島に招致することを決めたらしい。外務省との協議も進んでいるとか。集団的自衛権にふれないのは、そういう思惑があるのだろうか。しかし、いずれにせよ来年、主だった国の首相が集まって広島でサミットをやるとすると、5年に一度のNPTの再検討会議も開催されることだし、核問題は重大な焦点になってきそうだ。何か考えなくちゃ。

 本日は朝早くからまた本の梱包を解いて、並べて、販売してという一日だった。もちろん8時15分には黙祷である。

 本全体の売れ行きは、最後に計算してみないと分からないけど、自分が書いた本はすべて売り切った。首都圏を中心に、講演依頼もみっつほど。月に2回は東京に出張しますので、それにあわせて依頼していただければ、余分は交通費はいりませんので。

 なお、本日、福岡まで移動してきている。会社の将来がかかった仕事がまっている(秘密だけど)。

2014年8月5日

 昨晩、原水禁大会の1日目が終わって、ホテルに戻ると、いつものようにロビーに「中国新聞」が置いてあった。お隣の中国の新聞じゃないですよ。中国地方の新聞ということで、広島を中心に発行されている。

 広島に来る時じゃないとみることはない。私が見るのは、原水禁大会のときだけだ。そして、その場合、いつも原爆をめぐる記事が大きく取り上げられている。

 昨日の1面トップは、お隣の中国をとりあげた記事だった。まず、見出し。「中国軍「核弾頭を増加」」「文書明記 世界的軍縮に逆行」。記事の中心は、こういうものだった。

 「中国人民解放軍が公式文書で、核戦略の要となる戦略ミサイル部隊の「核弾頭を適切に増加していく」と明記していることが分かった。……
 文書は、陸海空と第2砲兵部隊(戦略ミサイル部隊)の当面の目標を示した軍人向け教材。この中で、核兵器を柱とする同部隊を、中国が大国としての主導権を確保するための「抑止力」の核心と位置づけた。…
 戦略ミサイルは、単に本土「防衛」のためではなく、広い範囲で「戦略的な主導権」をにぎるために活用すると強調」

 いや、まさに、いまの中国を象徴する記事だ。中国はきっとこういうことを考えているだろうなと思っていたけど、その通りだったというもの。

 それで、ふと思いついて、原水禁大会の海外代表の参加リストに目を通した。いつもそんなことに気を配っていなかったが、数年前までは中国代表も参加していたと思ってね。ことし参加していたら、この問題をどう考えるのか、問い詰めるべきだと考えたし。

 ところが、中国代表は参加していないかった。他の核保有国ということでは、アメリカ、ロシア、イギリス、フランスは参加しているんだけどね(もちろん、NGOだけど)。

 中国の場合、政府代表が参加していないというだけでなく、NGOも参加していない。中国のような独裁国家では、NGO(非政府組織)といってもあまり意味はなく、まわりからは政府系非政府組織(GONGO、GovernmentalNGO)なんて揶揄されているんだけどね。

 どんな国でも、希望があるとすれば、NGOに代表される非政府組織でしょ。日本でも、安倍さんが集団的自衛権を強行していても、国民レベルでは反対が多いから、なんとか希望がある。だけど、中国の場合、政府が軍事強硬路線を進んでいるとき、NGOまでが原水禁世界大会にさえ参加しないという状況だ。少し理性があれば、政府は参加しなくても、非政府組織を参加させて、「核廃絶の理念は捨てていない」と建前だけでも言わせると思うけどね。

 こういう現実をどうやったら変えていけるのか。難しい。だけど、そういう中国に対して、黙っているのではなく、ちゃんとダメだよと声を上げなくてはダメだということだけは、はっきりしていると思う。

2014年8月4日

 本日から原水禁大会で広島。重たい本の梱包を解き、販売し、また梱包しという重労働。ブログの記事はどうしようかな、日和ろうかなと悩んでいたら、中学時代からの親友が、私の名前を新聞で見たと言って教えてくれた。神戸新聞の一面コラム「正平調」だ。まあ、それなりに中身もあることなので、きょうの記事はその全文でご容赦を。

 定年後の参考にと、格安航空やユースホステルなどを使い、1年で世界を一周した京都の中高年夫婦の講演を聴いた◆旅行の途中「米国人旅行者とほとんど出会わなかった」と、ご夫婦は語る。「テロの標的になるのが怖くて国籍を明かせないのでは」との推察は当たらずとも遠からず、か。「世界の警察官」を自任してきた米国が敵意を抱かれがちな点は、あながち否定できない◆米国は中枢同時テロの後、タリバン政権が犯人をかくまっているとしてアフガニスタンを空爆した。国連安保理決議が根拠だったが、米国が「自衛」を主張するにはアフガンが実行犯を派遣した‐などの証明が不可欠だったと、ジャーナリストの松竹伸幸さんは指摘する。政権を倒したのも行き過ぎとみる◆日本は米国を支援したが、インド洋での艦船給油にとどめた。自衛隊の武力行使は集団的自衛権の行使に当たり、憲法9条に抵触すると厳しく戒めたからだ◆自衛隊は海外で人を殺したことがない。アフガンで武装解除に取り組んだ伊勢崎賢治・東京外大教授によると、日本は戦争をしない‐とのイメージが中東では不動だという◆安倍内閣が集団的自衛権の行使容認を閣議決定し、歯止めが失われつつある。私たちは「平和国家」の国民として、今後も安心して世界を旅できるだろうか。