2017年5月17日

 まだ東京。本日午前は会社の会議です。本社と東京事務所を結んでテレビ電話の会議をするんです。その仕組みができたおかげで、京都にいなくても会議に出席できるようになったので、出張するのも気楽になりました。

 音声の質などはまだまだですね。違和感は残ります。アマゾン・エコーとか、次々のこの種のものが便利になりつつあるので、そのうち顔を合わせた会議って、最小限のものになるような気がしますね。

 午後5時からは、「自衛隊を活かす会」の企画です。衆議院第一議員会館国際会議室において、政党・国会議員に呼びかけて(初の試みです)、「南スーダン後の日本の国際貢献」をテーマにした円卓会議です。ホントに円卓を囲んでやります。

 野党はすべて公式の代表が来られることになりました(「沖縄の風」も含めて5会派)。ぜひ、与党の方にも参加していただき、日本の国際貢献の方向性について、ある程度の国民的な合意ができればいいなと思います。

 IWJがこのチャンネルで実況するそうです。

 もちろん、「会」のホームページでも、何日後かに公開します。今回、テキストをアップすることはしませんので、ご了解ください。

 ということで、無茶苦茶忙しいんです。明日から、安彦良和さんの『原点』(岩波書店)を読んだ感想を連載します。

2017年5月16日

 昨日、ある編集者と話し込んだ。もともとロシア革命は本になるかが相談事だったのだが、話題は安倍さんの改憲案に及ぶ。これをどう評価し、どう本にするかは、いま出版社の直面する重大問題であるから、当然のことだ。

 安心したのは、その編集者が悩んでいたこと。安倍さんがこういう案を出してくることは、私の推測としては何回も聞かされていて理解していたつもりだったわけだが、実際に出てきてみて、これを批判するのが容易ではないという自覚が生まれたという。弊社と異なって有名な左翼出版社なので、周りにはたくさんの著者人がいるわけだが、そういう人には書かせられないという思いが芽生えているのかもしれない。以下、議論したこと。

 この問題、悩まないで反対闘争に突っ込んでいくと、とんでもない事態が待ち受けているだろう。この間、せっかく専守防衛の護憲派が増えてきたのに、やはり護憲派というのは自衛隊も専守防衛も心の奥底では認めたくない勢力だという烙印を押されることになるから。

 まあ、討ち死にという感じになるかな。理想をかかげ、現実と妥協せず、自衛隊のことを認めずに最後まで頑張り抜きました、なんてね。

 民進党はまちがいなく分裂する。その時、3項に自衛隊を明記することに賛成する人たちのことを、「敵」と位置づけたら、それも討ち死にの一環となるだろう。国民感情を敵に回すようなものだから。

 だって、現状のままで行くのも、理想と現実の矛盾をそのままにしておくことだが、3項に加憲するのも、矛盾をそのまま認めるということだから。ニュアンスの違いはあっても。矛盾の認め方として、どちらを選ぶかという選択になるのではないでだろうか。

 出て来る案に対する態度を決めるわけで、「反対」か「賛成」を選ぶしかない。だから、正反対の態度を選ぶように見えるけれど、反対と賛成は正面衝突する性格のものではないと思われる。

 さて、この問題、誰が書けるのかな。新しい書き手が必要になるかもしれない。

2017年5月15日

 土曜日から東京に出てきています。土日は私用で、本日から木曜朝までは仕事。

 本日の午前中は某医療団体を訪問し、キューバ医療に関する本の作成についてご相談。問題は午後の仕事です。

 今年はロシア革命100年なので、何か本を出したいとずっと考えています。しかし、日本の論壇は(世界も同じでしょうけど)、ロシア革命のことなんか、否定するためにでさえ取り上げる機運はないでしょう。古代史の領域に入ったできごとみたいな感じと言えばいいでしょうか。というより、科学が相手にしない神話の領域と言ったほうがいいかも。

 そのなかで、何をテーマにして、どんな論じ方をすれば読者の問題意識を刺激するのか、なかなか見えてきません。レーニンについての現代的論じ方って、あるんでしょうか。社会主義を掲げる勢力だって、議論する対象としてはマルクスまでで、レーニンは否定の文脈でした問題にしない時代ですからね。

 あるとすれば、時代の矛盾を捉え、それを現実の変革に結びつけるには何が必要なのかということでしょうか。これだけ貧困と格差が蔓延し、憲法を踏みにじる政治が横行しているのに、安倍内閣の支持率は高いままです。われわれは、どこか間違っているのです。

 一方、100年前のロシアでは、少数に過ぎず、そのわずかな指導者も亡命を呼びなくされていたボルシェビキが、いつの間にか多数の心を捉えられるようになった。それだけでなく、実際に政権を握るまでになった。

 日本とロシアの変革勢力を分けているのは何なのか。もちろん時代状況は違うわけです。ロシア革命の負の部分を避けて通るつもりはありません。しかし、正も負も含めて、20世紀を特徴づける最大の影響を与えたものを生み出した力は何だったかというのは、あらためて検証する必要があるように思えます。何らかの影響を生み出す思想、行動はどうやって生み出されるのかということです。

 そういう問題を、昼間、知り合いの編集者と議論してきます。そして、夕方から夜にかけ、本を書きたいという人とも会って議論します。さて、どうなることやら。

2017年5月12日

 本日の「赤旗」に志位さんの記者会見の内容が載っていた。それを見て、このタイトルで書いたようなことを強く感じた次第である。

 何の報道だったか忘れたが、自民党は、もう民進党を追い詰めることには成功したので、次の標的を共産党に据えたと書いてあった。そうだろうと思う。最近の支持率などを見ても、ほとんど変わらなくなっているものね。

 それで、自民党が共産党を批判するとしたら、自衛隊と憲法9条の問題になることは明らかだ。先日の参議院予算委員会でも、安倍さんは、共産党が自衛隊違憲論をとっていることを、9条3項に自衛隊のことを書き込む根拠にしていた。

 共産党の小池さんの対応がしっかりしていたので、安倍さんは勝てなかったけれど(というか、総理と総裁を使い分けしないとダメなので、突っ込めないという面もあっただろう)、それなりの存在感を発揮している共産党が確固とした自衛隊違憲論なので、自衛隊合憲が国民合意になっているとは言えない状態にあることは事実だ。自衛隊に憲法上の位置づけを与えて、自衛官が日陰者だと言われる余地をなくそうという訴えは、それなりに響くものと思われる。

 それと関連するのが、なぜ自衛隊のことを憲法に書き込んではいけないのかという点での、共産党の論拠である。志位さんはこれについて、「単に存在する自衛隊の憲法上の追認にとどまりません」として、「国際の平和と日本の独立を確保するために自衛隊を保持する」と書き込んだら、「海外における武力行使は文字通り無制限となります」と主張した。小池さんの質問も、「自衛隊の存在をただ追認するだけにはとどまらない」として、「海外での武力行使に対する制約がなくなってしまう」と追及した。

 先日の「安倍首相の9条改憲案」という記事で書いたように、そこには論拠はあるのだ。自衛隊、自衛権と書くことによって、集団的自衛権まで認められるというのは、これまでの自民党の論理だったわけだから。

 ただ、問題は、志位さんも小池さんも言っている「単に存在する自衛隊の憲法上の追認にとどまりません」「自衛隊の存在をただ追認するだけにはとどまらない」ということである。これは、「とどまらない」ことが問題だとする立場だが、じゃあ、「とどまればいいのか」ということだ。今後の論戦では、もし「追認にとどまるような改憲案だったら問題ではないのか」ということが問われてくるということだ。

 おそらく、「追認にとどまるような案をつくるのは無理だ」ということになるのだろう。けれど、いずれにせよ、どう対応するにせよ、「共産党は自衛隊を書き込むことにはどんなに抑制的に書くものであっても反対という立場だ」というキャンペーンが張られることになるだろうということだ。冒頭で書いた共産党標的論は、この分野で展開されていく。

 そういう立場は国民感情と乖離しているから、突破するのは簡単ではない。どう対応していくのか、注目しておきたい。出版社としても、ここにどう回答を持つのか、大事な問題だ。

2017年5月11日

 今週、「国連核兵器禁止条約の意義と課題」というようなタイトルの本づくりに取り組んでいます。先月、原水爆禁止世界大会起草委員長の冨田宏治さんに講演していただき、それをベースにまとめるものです。

 でも、この条約が国連の会議で採択されるのは、7月7日の予定なんです。一方、それを今年の原水禁世界大会で発売したいんです。しかも、7月28日には冨田さんの講演会が神戸であるということで、それに間に合わせろという催促もあります。

 ということで、いま、必死で作業中。まだ条約ができていない時点で講演したものを、条約ができた前提での本にするというのは、それだけでもアクロバチックですよね。しかも、時間がないなかで、綱渡りなんですから。

 で、何が言いたいかというと、ブログの記事を書く余裕がありません。ということで、本日は、『抑止力のことを学び抜いたら、究極の正解は「最低でも国外」』の書店向けのチラシをご紹介します。

抑止力販促-2

 このお二人に対談してもらいたいというのは、ただ、7年前の因縁があるからでした。鳩山さんが抑止力発言でこけて、それを柳澤さんが批判して論壇デビューするという因縁です(弊社から本も出して)。
 
 でも、対談してもらって、その因縁を超えた中身になったと思います。もちろん、普天間基地の問題が出発点なんですが、抑止力と日本の平和、抑止力と日米安保、さらには森友学園と安倍政権論、野党のあり方、トランプと世界のことなど、本当に新鮮な見方で語られています。

 もうほとんどできているんですけど、発売は7月10日予定です。営業とか、その他の準備に力を入れるものですから。まだ書店に並んでない本を抱えて、発売前の沖縄にも行って、いろいろ仕掛けてこなければならないし。