2017年10月2日

 昨日まで沖縄に行っていました。「自衛隊を活かす会」の沖縄企画「沖縄から模索する日本の新しい安全保障」その他の仕事です。その結果は、近く「会」のホームページに動画、テキストをアップしますので、それをご覧ください。

 そういう企画をしてきただけに、同時進行する総選挙をめぐる政局のことも考えさせられました。そして、この記事のタイトルのようなことを感じていました。

 安倍型政治を変えようとすると、国民の目に見えるような対抗軸が必要です。野党共闘はそこを見せようとしたわけですが、安全保障という角度で見ると、対抗軸は「新安保法制の廃止」にとどまっていました。それは大事なことだったのですが、結局、そこから先に進めなかったことが、保守派の脱落につながっていったと思います。

 だって、安全保障上、いま最大の問題は北朝鮮の核・ミサイル問題です。それをどうするかが選挙の争点になる局面で、保守・中道層は不安を感じているのに、野党共闘はそこをめぐる安全保障政策を示せなかった。市民連合の要望を見ても、北朝鮮の核・ミサイル問題は一つもありませんから、対話や外交の重視は言えても、防衛重視は関心の外だったということでしょう。

 「自衛隊を活かす会」が提示してきたのは、そういう言葉を使っているわけではありませんが、まさに安倍型政治への対抗軸としての安全保障政策です。そういうものが必要だと民進党の個々の議員などにも働きかけてきました。しかし、そんな問題意識を持つ議員も個々にはいたという程度で、全体として安全保障政策は自民党と一緒でいいというところから抜け出せなかったのが現実です。

 私も、京都で穀田さんと前原さんの対談本を計画し、安全保障の分野は「自衛隊を活かす会」が発表した「提言」を基礎に対談で議論しないかともちかけました。穀田さんの京都事務所は前向きなお返事でしたが、地方で独自に動きをつくるのはダメと中央委員会からご指導があったらしく、結局、前原さんに問題意識を持ってもらうこともできませんでした。

 それが現状です。安全保障政策が自民党と根底的なところで同じなのですから、共産党などの野党より自民党と心情的にも近いので、「希望」が見えたらコロッとなってしまうんでしょうね。枝野さんも安全保障政策では自民党と同じですが、新安保法制の位置づけが違っているわけです。

 このままで行くと、安全保障観を同じくする安倍型政治が二つに分かれて闘い、安全保障政策のない対抗軸がもう一つ存在して闘うという構図になるんでしょうかね。その対抗軸が安倍型政治と互角になるには、やはり安全保障政策を持てるかどうかがカギになるでしょう。それが持てれば、保守派・中間派(「希望」に行った人も含め)を取り戻すことができるからです。

 でも、今度の選挙でそこまではできないですよね。粘り強くそこを深め、提示していきたいと思います。