2013年8月15日

 そうですか。私は、中国がどこかの国に侵略されるなら、中国を助けなければならないと考えるのですが、それは甘い「理想論」ですか。

 でも、中国が侵略されるということは、いま中国に住み、働く多数の日本人の命が脅やかされることなんです。もし幸いに、邦人救出が成功したとしても、侵略によって中国経済が大混乱に陥るなら、日本経済はもちろん世界経済だって、回復可能な打撃を受けます。

 それが分かっていても、侵略される中国を前にして、何もしないですか? 日本の国民世論は、日本人の命が奪われるとか、日本の経済が崩壊することよりも、大嫌いな中国が侵略されることの方が大事ということになるでしょうか。

 そんなことはないと思いますけどね。もちろん、自衛隊が中国を助けに行くのかどうかは、別の問題ですけど。

 その自衛隊が何をすべきかという点で、『集団的自衛権の深層』で提起していることは、護憲派からも改憲派からも異論が出されると思います。非武装・丸腰の自衛隊を停戦監視のために海外派遣することを提案しているからです。自衛隊の海外派兵は、それにとどめるべきだという提案です。

 護憲派にとっては、自衛隊を海外に出すこと自体が許せないことでしょう。改憲派にとっては、自衛隊が海外に行くときは、堂々と武器を装備し、堂々と武器を使用することを望んでいるでしょう。

 でも、私の提案は真剣なんです。理由はいくつかあります(詳しくは本を見てね)。

 紛争が起きて、それを終わらせるためには、どこかで紛争の終結を監視する部隊が必要となります。国連は、そういう場合、非武装の軍事要員で構成される停戦監視団を送ってきました。

 これまで、そういう仕事は、中立的と見られてきた北欧諸国がやってきたんですね。だけど、その北欧諸国も、たとえばノルウェイはアフガニスタンに行って、人びとを殺戮する仕事をしています。だから、信頼されなくなっているのが現実です。最近、シリアに停戦監視団が行ったけど、何もできないで撤退しましたが、その団長がノルウェイの軍人でした。

 一方、日本の自衛隊は、これまで海外で人を殺したことがありません。それが紛争の停止をになう仕事をしやすくしています。数年前、その仕事をするため、ネパールに送られましたが、見事に成功しましたし。

 結局、自民党が考えているのは、自衛隊を他国の軍隊なみにしたいということだけなんです。他国と同じように武器を使用できる自衛隊にしたい。それだけ。要するに、日本が何をやることが、武力紛争を終わらせるうえで必要なのかという角度からのものではない。

 集団的自衛権で自衛隊に武力行使をさせるのが自民党の提案ですが、そうではなくて、武力を行使しないことが世界の平和にとって大事だと思います。それが自衛隊の役割です。まだ続きますが、明日はプレゼント。(続)