2014年1月6日

 年末に予告していたことですが、年明けは5日から東京で仕事をしました。お正月の日曜日だというのに、学校の先生方が全国から集まって講演に招いてくださったのです。

 すでに何回か書いていますが、私にとっては、護憲の課題にとって勝負の年です。というか、本番は2年半後でしょうけど、そのためにいいスタートを切るべき年です。

 その年の最初の仕事が、5日の講演でした。相手が学校の先生方なので、少し緊張していたんです。

 だって、これまで学校の先生に呼ばれたのは、テーマが領土問題だったんです。その関連本を2年ほど前に出したのがきっかけでした。だけど、今回、憲法九条の軍事戦略について語れということでした。

 学校現場を知らない私にとって、先生方というのは、憲法の理想に燃えて子どもたちを教えているというイメージです。誰がどう読んでも自衛隊は憲法違反であって、憲法に忠実であるべき公務員として(公立学校なら)、その信念に忠実に教えているだろうなと思っていました。

 でも、その先生方も悩んでいるんですね。悩みは広く、深いです。

 自衛隊は憲法違反だけれど、それを暫定的には認めないと護憲運動は広がらないのではないか。でも、いったん認めてしまったら、どこまでも認めるみたいにならないのか。

 海外派遣も災害救助に反対していたら共感を得られないから認めるべきではないか。でも、そこを認めたら、「人を助けるためなら」ということで、際限なく拡大していくのではないか。

 九条の軍事戦略の考え方は分かるが、じゃあ、憲法との関連をどう考えるのか。自衛隊違憲の立場なのに、軍事戦略を提起していいのか。

 そもそも、こんな複雑な問題を、子どもたちにどう教えていくのか。等々。

 先生方が悩んでいる現実に、深く共感するものがありました。私だって、「これしかない」という結論を持っているわけではなく、共通の悩みを持ちながら、日々、決断を迫られます。九条の軍事戦略を打ち出すために集まろうとしている関係者のなかでも、大きな違いがあると思います。

 だけど、こんな複雑な問題ですから、違いがあって当然なんです。それをこれから議論していくわけです。

 そして、大事なことは、議論するにしても、意見の違いを克服し、完全に一致させるため、がちがちに議論をつめていくということではないと感じます。そうではなく、意見の違いを楽しむような余裕をもって、議論を進めていかなければ、幅が広く強固な連帯は生まれないと思います。

 私と同じレベルで学校の先生方も悩んでいる。きっと、悩んでいるのは先生だけでなく、この問題をまじめに考えている人びとすべてなのだではないでしょうか。そのことが分かって、すごくやる気になった年明けでした。