2014年1月8日

 昨日の毎日新聞でしたっけ、自民党は、現行の憲法改正案の「国防軍」のままでは世論の反発も強いし、公明党との溝が埋まらないので、2005年の自民党新憲法草案に戻して「自衛軍」にすることを考えていると報道されました。「自衛隊」にすることも検討するそうです。

 まあ、世論に気を遣うのは、悪いことではありません。だけど、「国防軍」が「自衛軍」「自衛隊」に変わっても、本質は変わらないんですよ。

 だって、2005年10 月28 日に草案が発表されたとき、いま時の人の舛添さんが説明にたったんです。舛添さんは、自民党新憲法起草委員会事務局次長で、草案をつくった中心人物だったんですね。

 マスコミが質問しました。だって、憲法改正の焦点は当時から集団的自衛権の行使を認めるかどうかにあったのに、草案には「集団的自衛権」という言葉がなかったからです。

 舛添さんの答は、大要、「自衛軍、自衛権を憲法に明記することにより、個別的自衛権だけでなく集団的自衛権も認められることになる」というものでした。国連憲章では(51条)、個別的であれ集団的であれ、行使の要件は変わらないのだから、自衛権があることが明確なら、それでいいということだったのです。

 だから、翌日(10月29日)の各紙は、朝日であれ読売であれ、これは集団的自衛権の行使に踏み込むものだと書きました。もう忘れておられる方も多いと思うので、当時の新聞論評を紹介しておきます。

「9 条については、1 項の戦争放棄条項は維持する一方で、『自衛軍』の保持を明記した。自民党はこの条文なら集団的自衛権の行使は可能としており、自衛軍に『国際平和の確保のための国際協調活動』を認めることで海外での武力行使を伴う活動にも道を開いた。」(朝日)

「自衛軍を明記し、『我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため』との目的をうたって、集団的自衛権の行使を解釈の上で容認した。また、『国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動』として、国際協力への参加を規定。海外での武力行使を事実上認めた。」(毎日)

「戦争放棄をうたった現9 条1 項は維持、交戦権否認の同条2 項は削除し、国防と国際協力、災害派遣など公共の秩序維持を任務とする自衛軍の保持を明記した。集団的自衛権の行使と海外での武力行使を容認した。」(産経)

「自衛軍の任務は、自国の防衛や緊急事態への対応に加え、国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動とし、海外での武力行使も可能とした。」(東京)

「自衛軍の任務として、新たに国際平和協力活動などを加えた。草案には明記していないが、解釈上、当然、集団的自衛権を行使できるとしている。」(読売)

「集団的自衛権の行使は明文化せず、解釈で行使を認めるが、行使要件は新たに制定する安全保障基本法で規定する。」(日経)