2014年1月7日

 安倍さん、年明けから絶好調ですね。新年のあいさつで改憲への意欲を表明したと思ったら、本日の読売新聞によると、米軍への後方支援を拡大するような法改正を準備中とか。

 その中心が、戦闘地域での医療活動、捜索・救難活動ということらしい。何としてでも自衛隊を最前線に送りたいという、すごい熱意が伝わってきますよ。

 おそらく、自衛隊が前線で戦闘行為までやることについて、アメリカからの理解が得られていないんでしょうね。私が思うに、アメリカにとっては、現在の新ガイドライン・周辺事態法の枠組みがベストですよ。だって、自衛隊がアジアの前線にまで出てきたら、アジアの人びとの脳裏にきざまれた日本の侵略の過去が蘇ってきて、何としてでも日本になんか負けるものかと戦意が高揚するでしょう。だからアメリカは、日本の役割を方法支援にとどめておきたいのでしょう。

 だけど、それでは安倍さんは満足できない。後方でしか活動できないとか言われると、一人前の軍隊でないと批判されているみたいで、「誇り」が傷つくわけですね。

 それで、「医療」だったら文句ないだろうということでしょうか。人道支援するという行為だから、アメリカからだって日本の世論からだって、批判されることはないだろうと。

 だけどね、その浅ましさが、一番の問題なんですよ。一言でいえば、それは人道支援ではありません。

 人道支援というのは、そこに困っている人がいたら、どんな人であれ救うことです。戦闘地域の医療ということでいえば、安倍さんが想定しているアメリカ兵だけでなく、相手国の兵士だって助けなければ、「人道」の名に値しないんです。

 1986年、国際司法裁判所が、ニカラグアとアメリカの武力紛争について判決をくだして、この分野のいろいろな概念を整理し、定義しました。この争いの中で、人道分野の支援なら何をやってもいいだろうという考え方が出され、ちゃんと裁判で議論されたんです。

 その結論が、いま手元にないので、引用する形にはなりませんが、人道支援というのは当事者すべてを支援することを条件にして人道支援になるというものでした。

 安倍さんの頭のなかには、中国人民解放軍の兵士とか、北朝鮮の兵士とか、ちゃんと助けるべきだという概念がインプットされているんでしょうか。まさかね。

 要するに、アメリカから具体的な要請があるとか、この地域で戦争するのにこれが必要だとか、ものごとをちゃんと考えて出てきたものではないのでしょう。そんなことに付き合わされる自衛隊員は、たまったものではないと思います。