2014年2月13日

 脱原発運動の分裂にもかかわって、また書いておく。もっと背景にある問題だ。

 いま、多くの方が、安倍さんの路線に対して危機感をもっている。憲法9条にかかわる問題もそうであるし、原発問題もそうだと思う。

 それにどう対抗するのか、安倍さんを打倒することをスローガンにするとして、打倒した後、どんな政権をつくるのかが問われている。だって、打倒したあと、石破さんが引きつぐことになっても、展望がないでしょ。少しでもましな政権をめざさなければならない。

 その政権は、それなりの良質な保守と、原理的ではない革新が手を組む政権になると思う。なぜそう思うかというと、理由はふたつ。

 ひとつは、そうじゃないと多数派になれず、安倍さんには勝てない。世論では多数になっているように見えても、政権をまかす選挙になると安倍さんの路線が多数を占めるのが、この間の現実である。良質な保守だけでは、どんどん衰退していって、昔のように派閥抗争のなかで首相をとれる状況ではなくなっている。革新は、運動体としては世論の多数を占めても、政権を任せられるだけの信頼は得ていない。両者が一緒にならないと話にならないというのが、都知事選でもはっきりしたと思う。

 もうひとつは、そういうことが可能になる現実の情勢があるからだ。政権共闘をしようと思えば、基本政策の一致が必要である。

 安全保障の分野では、近く、自衛隊を否定するのではなく、かといって国防軍へと行くのでもなく、現行憲法のもとで生まれた自衛隊の可能性を活かす安全保障政策を打ち出す会が、それなりの人たちによって誕生する。安倍さんの安保抑止戦略とは異なり、日本と周辺の安全を作り出す政策であるが、日米安保と自衛隊の存在は否定しない。これなら保守と革新で一致する部分がある。

 安全保障政策の一致だけでは政権は生まれない。しかしそこに、脱原発という経済・エネルギー政策の根幹でも保守の側からひとつの流れが表面化したのが、今回の都知事選挙だった。

 この流れを発展させることが求められていると私は思う。だけど、保守と革新の共闘なんて、あまり体験したことがない。運動面では生まれている。政権面では社会党と自民党の連立があったけど、社会党は、安全保障の独自政策がないまま、ただ取り込まれていった。保守と連立する場合は、いまの安倍政権とどこでどう対決するのか、その面での基本政策が大事である。

 じゃあ、その際、これまで革新がかかげてきた政策を、相手に丸呑みさせるのか。脱原発では即時ゼロ、TPP絶対反対、新自由主義のいかなるあらわれ(人によって何があらわれか違うだろうけど)も絶対阻止等々。安全保障政策と同様、意味がある妥協というのも必要ではないのか。あるいは、過去への反省と総括が必要だという人がいるけれど、じゃあ、安保廃棄は政権として求めないという合意になったとして、保守の側から、「これまで左翼が安保廃棄を求めてきたことへの反省と総括がないと一緒にやれない」と言われたら、いったいどうするのか。

 保守と革新の協力というのは、これまで前例がないだけに、考えるべきことがいっぱいある。だから楽しいんだけど。