2014年11月13日

 ようやく慰安婦問題に関する本の第一章を書き終えました。いまのところ、章のタイトルは「朝日新聞の「罪」はどこにあるのか」なんですけど、ちょっと刺激的すぎるかな。

 まあでも、これだけ嫌韓本が山と積まれているなかで、人目を引かないと手にとってももらえないしね。それ以上に、私なりに考えた結論として、やはり「罪」なんだと思うんですよ。

 何かというと、慰安婦問題の本質を捉え損なった「罪」。そういう点では、朝日だけではなく、慰安婦問題にかかわってきた人みんな(私も)の「罪」なんですけどね。

 それが何かは、まだ書きません。第二章、第三章と進む内に、考えが変化していくかもしれないし。何より、刊行する本の中心点でネタバレすると、出版社に怒られるし。

 その意味では、この連載も、ここまでかな。そうでもないかな。

 疲れました。頭がですけど。こんなにものを考えたのは、『憲法九条の軍事戦略』を書いたとき以来です。

 このふたつに共通するところはあるんですよね。いろいろ。

 『憲法九条の軍事戦略』は、改憲派との接点を追い求めるものでした。日本を守るためには軍事戦略のない護憲派なんか問題外だという人に、護憲派の軍事戦略を示すことで、護憲でもいいんだと思ってもらうための本でした。

 今回の慰安婦問題の本も、強制連行なんか証拠がないじゃないか、それなのに謝罪や国家補償など論外だという人に向かって書いた本です。しかも、そうなんです、国家が連行を命令した証拠なんかないんですよという立場で書いていて、じゃあどうするかを提示する本です。

 楽しみにしていてください。前にも書きましたが、明後日の15日(土)、京都でエッセンスを少しお話しします。

 不公平になってはいけないので、その翌日(16日)の講演会もお知らせしておきます。大阪の枚方市で活動する九条の会の講演会で、『集団的自衛権か、憲法九条の軍事戦略か』をテーマにお話しします。

 開会は午後1時半。場所は枚方市民会館(1階)です。お近くの方で、お時間のある方は、是非どうぞ。

2014年11月12日

 いよいよ決まりですね。12月14日投票ですか。

 それにしても、中国の習近平国家主席との会談の直後、こうした動きが表面化したのは偶然ではないでしょう。選挙でのリスク低減ですよね。

 重大なリスクである消費税については、あげないことを宣言し、国民を安心させる。他の野党が「凍結」とか言っているけど、それができるのは自民党なんだと分かってもらうわけです。

 一方、安倍さんの不安要因は、もうひとつありました。それが集団的自衛権反対の世論が高揚したことが、今年7月の滋賀県知事選での敗北につながったということでした。集団的自衛権行使を担保するための法案は、すべてゴールデンウィーク後に先送りしたほど、心配していたわけですから。

 この不安、具体的には、中国との関係の問題にあらわれていたわけです。安倍さんの強硬路線が中国との関係をさらに悪化させ、本当に軍事衝突が起きるのではないかという不安があって、中国首脳との会談させできないということが、そういう見方を増幅させていたんですね。

 しかし、習金平氏との会談を実現し、戦略的互恵関係を確認し、地域の平和のために両国の責任を果たすことが確認されました。とりわけ、ここで確認された「海上連絡メカニズム」って、いまいちばん不安視されている偶発的な衝突、不測の事態を回避する上で決定的ですから、私だって安心しています。

 習近平氏の心の内は、穏やかじゃないでしょうね。あれほどいやがっていた安倍首相との会談をやったことが、安倍さんに解散する力を与え、「中国ともちゃんとやっていける首相です」と選挙で主張できるお墨付きを与えることになっちゃったのですから。政治って、本当に、政治ですね。

 私としても、沖縄県知事選挙で勝ち、一斉地方選挙でも安倍さんを追い詰めれば、ゴールデンウィーク後の法案審議は簡単ではないと言ってきました。その見通しの甘さには反省です。

 まあ、でも、この分野で一番大事なのは、護憲派の防衛政策をつくることだと考えていて、それにはいささかの狂いもありません。来年2月に国際貢献分野で、法案が焦点となる6月には日本防衛分野で、「自衛隊を活かす会」が提言を出すことになるでしょう。それが安倍さんを追い詰める力になるはずです。がんばります。

2014年11月11日

 解散風が吹いてきている。だけど、そのきっかけとなっているのが、経済指標が良くなくて、来年秋の消費税増税を見送ることを決めるからだというのが、どうも分かりにくい。

 経済指標が悪いけど増税をやるぞというなら、約束と違うから国民の信を問うことは当然だろう。だけど、悪い時は増税方針を見直すというのは既定路線なのだから、そんな必要はないのではないか。

 きっと、そういうことよりも、いま選挙をやれば勝てそうだという判断が基準なのだろう。世論調査では他の野党を圧倒的に引き離しているし、その野党の選挙準備も選挙協力も進んでいなくて、自公が過半数割れする心配はしないですむ。せいぜい共産党がふんばる程度で、いまの構図が基本的に維持できるという自信のあらわれではないか。

 そうして選挙で勝てば、信任されたということで、懸案の課題に取り組める。集団的自衛権を具体化する法案もあるし、アベノミクスも支持されたと言えるので、増税にもフリーハンドになるし。長期政権間違いなしということか。

 だけど、増税を先送りしたら解散というのが、安倍さんが抱える本質的な矛盾だと思う。増税できないということは、アベノミクスの失敗を認めるのと同じである。だって、谷垣さんが幹事長になった直後、アベノミクスが成功していることを示すためにも増税はしなければならないと言ってたしね。

 増税して解散するという判断ができないのは、それだけ経済指標が良くなくて、その指標にあらわれる通り、国民生活の深刻化が進んでいるということであろう。そこを突かれると、いくら安倍政権が盤石のように見えても、結果は不明だということを自覚しているわけだ。

 それなら、来年の春闘で非正規労働者もふくめ5%の賃上げが実現したら増税するとか、そんな表明をしたらどうなんだろう。経営者はそれなりに必死になると思うけどね。

 そうやって、増税を決めて解散できるなら、安倍さんの長期政権になる可能性がある。だけど、それができないということは、本質的な矛盾を抱えているということだ。

 この間、安倍政権に対抗する安全保障政策をつくる分野では、いろいろ努力してきて、先が見通せるようになっている。間に合うのは次の選挙だけどね。

 経済政策の分野でも、野党的に批判をしている人というのではなく、国民が「この人なら日本経済を任せられる」という方々に対案をつくってもらいたいと思っている。そこにも早く挑戦していきたい。

2014年11月10日

 6月に発足した「自衛隊を活かす会」は、「「護憲」を超えて」を共通テーマにして、これまで3回のシンポジウムを開いてきました。本日、第4回目のシンポの開催をホームページで告知しましたので、このブログでもご紹介しておきます。

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 これまでは主に国際貢献分野でやってきました。1回目は「自衛隊の可能性:国際貢献の現場から」、2回目は「対テロ戦争における日本の役割と自衛隊」、3回目は「防衛のプロが語る15事例のリアリティ」でした。それぞれの専門研究者はもちろん、元幹部自衛官にご協力いただき、議論を深めてきました。

 今回のシンポジウムからは、いよいよ「日本防衛」を議論する段階に入ってきます。お迎えするゲストは、植木千可子さん(早稲田大学国際学術員教授。専門は国際関係論、安全保障論)と小原凡司さん(東京財団研究員。元海上自衛隊第21航空隊司令・中国駐在官)です。「会」の呼びかけ人(柳澤協二・代表、伊勢﨑賢治、加藤朗)を含め議論します。

 議論のテーマは、「新たな米中関係と日本の安全保障」。報告するのは4人で、テーマは以下の通りです。柳澤さんは司会。

植木 「日米中関係をどう見るか──安定のカギとなるのは何か」
小原 「中国は日本との関係をどうしようとしているか、日本はどう対応すべきか」
伊勢﨑「中国・インド関係の現状から日本防衛のための教訓を汲み尽くす」
加藤 「日本は韓米の見本になるよう慰安婦に謝罪し、戦略関係を変化させるべきだ」
 
 チラシには書いていませんが、今回、年末でもあるし、「会」の活動も半年を迎えたこともあるし、大忘年会をやることにしました。場所は、シンポ会場のある日比谷公園内の日比谷サロー(旧名・茶廊)です。

 まあ、クリスマス前の大事な祝日をつぶして来られる参加者のみなさんへの感謝ですね。第3回までの内容をふまえ、国際貢献分野での「会」の提言づくりとか、それを収録した超大手出版社からの本の刊行準備も進んでいますので、そのあたりもご報告できればと思います。

 シンポと忘年会の申込みは、ホームページ上からお願いします。12月23日(火・祝)午後1時45分より、いつもの千代田区立日比谷図書文化館(大ホール)です。

2014年11月7日

 添付の通りです。15日(土)午後2時から、うわあ3時間半もやるんですね、終了は5時半。

 場所は、以前、神戸でお話ししたところと違ってました。同じいきいき市民活動センターなんですが、京都駅に近い下京ではなくて、四条河原町に近いというか、三条の方が近いですね、東山いきいき市民活動センターでした。お間違いのないように。

 毎日悩んでいます。対立と融和の狭間をさまよっているという感じでしょうか。

 この問題の背景にあるのは、歴史認識の違いでしょう。でも、そうとらえてしまうと、安倍政権に慰安婦問題でなんらかのことをさせるって、ほとんどというか、実際にはまったく不可能ということになってしまいます。根本的に違うんですからね。しかも、安倍政権を倒して、「正しい」歴史認識をもつ政権をつくる可能性があるのか、それを次の選挙でできるかとなると、それもほとんどというか、実際にはまったく不可能。

 それなら、歴史認識を脇において、何らかの妥協点を探るしかないわけですが、ここまで対立の深まった慰安婦問題ですから、それは左右の両方が許さないということになる。

 河野談話の頃までは、国民多数は、慰安婦問題で心を痛め、何らかの措置が必要だと考えていました。しかし、河野談話で謝り、村山談話で謝り、アジア女性基金をつくって総理大臣のお詫びの手紙を慰安婦に渡したのに、「正しい」歴史認識によるとそれでは「謝っていない」ということになって、「正しい」歴史認識に対する国民の支持がどんどん減っている。

 そういうなかで慰安婦の本を書こうというのですから、ブログのタイトルではないですけど、本当に「冒険」ですよね。バッシング間違いなし。

 まあ、今回の集まりは、朝日新聞の元幹部が来られるので、しかも焦点の大阪本社の方ですから、関心がそちらに集中して、私は無傷に終わるかもね。では、当日に。

1410 朝日新聞問題京都J9条の会お知らせ