2014年11月11日

 解散風が吹いてきている。だけど、そのきっかけとなっているのが、経済指標が良くなくて、来年秋の消費税増税を見送ることを決めるからだというのが、どうも分かりにくい。

 経済指標が悪いけど増税をやるぞというなら、約束と違うから国民の信を問うことは当然だろう。だけど、悪い時は増税方針を見直すというのは既定路線なのだから、そんな必要はないのではないか。

 きっと、そういうことよりも、いま選挙をやれば勝てそうだという判断が基準なのだろう。世論調査では他の野党を圧倒的に引き離しているし、その野党の選挙準備も選挙協力も進んでいなくて、自公が過半数割れする心配はしないですむ。せいぜい共産党がふんばる程度で、いまの構図が基本的に維持できるという自信のあらわれではないか。

 そうして選挙で勝てば、信任されたということで、懸案の課題に取り組める。集団的自衛権を具体化する法案もあるし、アベノミクスも支持されたと言えるので、増税にもフリーハンドになるし。長期政権間違いなしということか。

 だけど、増税を先送りしたら解散というのが、安倍さんが抱える本質的な矛盾だと思う。増税できないということは、アベノミクスの失敗を認めるのと同じである。だって、谷垣さんが幹事長になった直後、アベノミクスが成功していることを示すためにも増税はしなければならないと言ってたしね。

 増税して解散するという判断ができないのは、それだけ経済指標が良くなくて、その指標にあらわれる通り、国民生活の深刻化が進んでいるということであろう。そこを突かれると、いくら安倍政権が盤石のように見えても、結果は不明だということを自覚しているわけだ。

 それなら、来年の春闘で非正規労働者もふくめ5%の賃上げが実現したら増税するとか、そんな表明をしたらどうなんだろう。経営者はそれなりに必死になると思うけどね。

 そうやって、増税を決めて解散できるなら、安倍さんの長期政権になる可能性がある。だけど、それができないということは、本質的な矛盾を抱えているということだ。

 この間、安倍政権に対抗する安全保障政策をつくる分野では、いろいろ努力してきて、先が見通せるようになっている。間に合うのは次の選挙だけどね。

 経済政策の分野でも、野党的に批判をしている人というのではなく、国民が「この人なら日本経済を任せられる」という方々に対案をつくってもらいたいと思っている。そこにも早く挑戦していきたい。