2014年11月16日

 沖縄県知事選挙は、地元紙などの世論調査から、翁長さんがダブルスコアで勝利することが早くから伝えられていた。だから、終盤に自民党のてこ入れがあったけど、基本的な構図は変えられないと思っていたから、あまり心配していなかった。でも、勝ててよかったです。

 4年前の県知事選挙では、革新共闘の伊波さんを応援するため、候補者として表に出るかなり前にお会いし、本を出すことになった。今回と同じく11月が選挙だったが、9月に刊行したのは『普天間基地はあなたの隣にある。だから一緒になくしたい。』という長い名前の本になった。帯文は、「沖縄が変われば日本が変わる。日本が変わればアメリカも変わる」。

 だけど、沖縄の革新共闘は、共産党、社民党、社大党という、「安保廃棄」で一致する共闘で、安保によって押しつけられた米軍基地に苦しめられている沖縄においても、県知事選挙で勝利するだけの多数を得ることは難しいと感じた。だから、ちょうど何十年にわたる防衛官僚としての仕事を終え、「沖縄に海兵隊基地はいらない」と表明していた柳澤協二さんにお会いしに行き、安保容認の立場でも普天間基地の撤去は当然という本をつくってほしいとお願いしたのだ。それが『抑止力を問う』という本になった。

 その2つの本を同時に出すことによって、安保廃棄か容認かにかかわらず、普天間基地の撤去は当然で、伊波さんの主張への支持を増やそうとしたわけである。私自身、沖縄の40書店くらいを営業で回って、たくさん本を積んでもらった。

 4年前の選挙では負けたのだが、今回、翁長さんが保革共闘の候補者となったことは、その時の判断が間違っていなかったのだと思う。いま、自民党が歩み始めている道は、集団的自衛権にしろ、沖縄への基地押しつけにせよ、旧来の自民党の中心にいた人にとっても受け入れられない道なのである。そのことを自覚して、今後の政治のことを考えなければならないと思う。

 それにしても、那覇市長選挙まで、これだけの大差で勝てるとは思っていなかったので、うれしさ倍増である。新基地建設が焦点となる県知事選挙とことなり、それが市政の争点にならないし、県知事選挙と違って、公明党が自民党といっしょにやるからだった。

 それでも自公が市長選挙に勝てなかった。そこには、普天間基地問題というだけでなく、安倍政権が進める路線への批判が保革を超えて存在し、広がっているという現実がある。

 つまり、安保条約を認め、自衛隊は合憲だと考える自民党支持者であっても、安倍さんの路線にはついて行けなくなっているということだ。その現実をリアルに見なければならない。翁長さんだって、安保条約を廃棄するとか、自衛隊は違憲だとか、そういう立場には立っていない。

 そこを革新の側が問題にしないことによって、県知事選挙でも、市長選挙でも勝利することができた。翁長さんを推薦した「革新共闘」の側が、与党という立場から、安保廃棄・自衛隊違憲の立場で翁長さんにものごとを要求しはじめると、普天間をなんとかしたいということで一致していた共闘が、もろくも崩壊することになる。沖縄は、これからが試練と挑戦である。