2014年11月6日

三、「専守防衛」の政策をつくっていく

 安倍政権とは異なる専守防衛の政策を示していくことについては、多くの政党が模索してきました。民主党についていえば、政権末期は自民党と同じく抑止力信仰に逆戻りしましたが、普天間基地の県外移設や対等な対米関係など、自民党とは異なる道筋を提起しかけた経験があります。日本共産党について見ても、いまから一四年前、侵略や大規模災害の際の自衛隊活用という方針を党の大会で先駆的に打ち出しました。

 一方これまで、専守防衛といえば安保依存と一体となった自民党の政策であったため、護憲派が専守防衛を深めればどんな政策になるのかについて、突っ込んだ探究はされてきませんでした。いまそこに変化が訪れようとしています。

 この六月七日、「自衛隊を活かす:21世紀の憲法と防衛を考える会」(略称、「自衛隊を活かす会」)が結成されました。柳澤協二さんを代表として安全保障専門家の三人が呼びかけたものです(私はその事務局の仕事をしています)。柳澤さんは、防衛官僚を四〇年間務めた方で、最後は、安全保障担当の内閣官房副長官補(事務次官待遇)として、小泉、安倍(第一次)、福田、麻生と四代の自民党首相に仕えた方です。退職後、さまざまな体験をへて、昨年一一月、九条の会の全国交流集会に参加し、憲法九条が生みだした日本の平和ブランドを守ろう、集団的自衛権に反対しようと呼びかけました。

 「自衛隊を活かす会」は、もちろん自衛隊を否定する立場には立ちません。しかし同時に、集団的自衛権や国防軍路線にも賛成せず、現行憲法の枠内で防衛政策を提言することをめざしています。そのために、防衛の現場で仕事をし、悩んでいる自衛隊の幹部の方々とも協力しあっています。

 一〇月はじめまでに自衛隊の国際貢献の問題を考える三回のシンポジウムを開催し、年末から来年にかけてのシンポジウムでは、日本防衛を主題にして検討することになります。これらのシンポジウムには、幹事長や政審会長が出席する政党もあり、国会議員秘書や政審職員まで含めると、主要な政党は参加しています。

 政策面での共闘というのは、主導するのは政党であって、市民の側にできることは限られています。その政党を見渡すと、安倍政権の打倒で一致することがあるとしても(それさえそう簡単ではありません)、それに替わる政権づくりで協力し合える感じはありません。そこは政党間の努力に期待するしかないでしょう。

 しかし、私たち国民の側が、「こういう政策で一致すべきだ。その政策をもって集団的自衛権で突っ走る安倍政権を打倒すべきだ」と提示していくことは可能です。野党の協力が実現しない場合も、その政策を採用する政党が増えるならば、積極的な意味があるでしょう。一点共闘が政治を変える闘に発展するかどうかは、私たちの準備と覚悟にかかっています。