2015年9月8日

 先ほどまで、労働組合の幹部の方が来られ、いろいろ話し合っていた。テーマは、どうやって労働者を組織するのかということだ。

 もともとは、弊社が出した本の中身に対して、重大な異論があるということがきっかけ。いやあ、こんな分野でも、大きな意見の違いがあるのだなあと勉強になった。

 長時間話し合った結果として、私が提案したのが、この記事にあるような本を出さないかということだ。労働組合の組織率の減少が問題になっているけれど、その原因はあれこれの組織論の誤りということではなく(異なる組織論でやっている労組でも組織率は減っているのだから)、労組がこういうことを語れないことにあるのではというのが、私の問題意識である。

 労働組合が労働者を組織するやり方の基本は、要求というか権利というか、そんなものだろう。賃金をあげろとか、その他その他。

 しかし、そういう接近では獲得できない場合が増大しているように思える。たとえば、先ほどの幹部の方が紹介していたが、大経営に派遣労働者が来て、賃金が半分くらいしかないから、賃上げでがんばろうと言っても、「自分はここでスキルをあげることで次の職場ではもっといい賃金をもらえるようにしたい」と、相手にしてもらえないそうだ。しかし、労組がスキルをあげることに関われるなら、そういう状況は打破できる。

 あるいは、とりわけ若い人のなかで問題になっているけれど、仕事に誇りを持てないでいる状態がある。賃上げって、自分が大事な仕事をしているという自覚があるときに、その要求への自覚が強まると思う。つまり、「働くってすばらしい」と思えないと、要求や権利といっても、自分のものになってこないと感じるのである。

 だけど、労働組合が「働くってすばらしい」と言うって、抵抗があるかもしれない。経営者に屈服するという感じかなあ。

 それに、労働って搾取されることなのだという論理からは、「働くってすばらしい」という思考は生まれてこない。でも、搾取されているということは、自分の労働の成果が自分のものになるだけでなく、社会が必要とする分も含めて価値を生みだしているということだ。

 このブログの読者のなかで、労働組合の幹部の方がおられたら、是非、本を書いてもらえませんか。そんな本は有害だというなら、そういうご意見をお寄せください。