2017年1月11日

 いろいろ問題になっていて、確かに見ていて不快な気分にさせられるのが多いですけど、中には考えないといけないこともありますよね。たとえば自動車会社への攻撃もそうです。

 トヨタその他がやり玉にあがっているわけですが、問題点はいくらでも指摘できます。企業の生産計画は何年も準備しているもので、突然変更はできないのだとか。メキシコへの悪影響はどうするのかとか。そもそも自由貿易に反するものだとか。

 だけど、トランプさんは、アメリカ国内で売るものはアメリカ国内で生産しろって言っているだけですよね。それって、基本的な考え方として、おかしいんでしょうか。

 いや、完全自由貿易論者の立場からすると、おかしいということになるでしょう。TPP推進論者から見ても、よくないということになるでしょう。だって、国境の壁をなくして自由貿易を推進しようということですから。

 だけど、多少なりとも国内の産業や雇用を保護したいという立場からすると、そんなにヒドいことを言っているとは思えません。日本でだって、ずっと産業の空洞化が問題になってきましたよね。企業がどんどん生産拠点を中国や東南アジアに移していって、日本の産業の未来はどうなるのか、少なくない方が心配してきたと思うんです。

 この流れをどう変えていくのか、これまでなかなか先が見えませんでした。日本に残ってもらうため税金とかを安くしたら、「大企業優遇」とか批判を受けますし、逆に海外に出る企業に制裁金を課すみたいなことは、対立と混乱を生み出すし。
 
 その点、トランプさんは、ただつぶやくだけで、効果をあげているわけです。お金もかからない。国内での支持にもつながる。

 ほんとうだったら、トヨタがメキシコに工場をつくるという計画に対し、日本国内で、「なぜメキシコなんだ、日本につくれ」という声があがってもいいんだと思うんです。だけど、そんな声は、与党からも野党からもあがりません。

 いや、この場合は、アメリカで売るものだから、日本で生産とはならないのかもしれません。だけど、日本で売るものでも海外に生産拠点を移すということにたいしては、もっと異論がでて、それをどうコントロールしていくか、いろんな提案が出てきてもいいと感じます。

 そういうことのきっかけになるなら、トランプさんの攻撃も意味がある(言い過ぎか!)かな?