2017年1月23日

 野党連合政権がどんなものになるのか不明である。そもそも合意ができるかどうかも分からない。合意ができたとして、何が一致して何が一致しないのかも、政権の性格付けに影響を与えるだろう。

 しかしまず、それが共産党の提唱している民主連合政府と同じ性格の政権でないことは明らかである。何と言っても日米安保条約の廃棄という、民主連合政府の中心的な政策を掲げないわけだから。

 同時に共産党がめざしているのは、これまで提唱されてきたような「よりまし」政権でもないはずだ。現在だって、新安保法制の廃止、格差と貧困の是正、沖縄などに見られる強権政治反対、安倍政権下の憲法改悪阻止の4つで一致している。そして、いま野党が政策合意をつくろうと努力しているということは、この4つをさらに具体化しようということだろう。それなら、特定の限られた政策だけ一致していて、それを実現したら解散総選挙ということは想定されていないはずである。

 じゃあ、そうやって政策合意ができたとして、それは基本政策で一致した政権ということになるのか。あるいは、民主連合政府だけが基本政策で一致した政権なのか。

 そういう視点で共産党の綱領に書かれてある民主連合政府が実行する政策を眺めていると興味深い。日米安保と自衛隊をめぐる政策以外、民進党などとそう違わないのではないだろうか。

 例えば原発政策が焦点だとされていて、私もそう思うが、綱領には「原発ゼロ」とは書いていない。ということは、民進党のいうように2030年までに「原発ゼロ」で合意したとして、綱領に反していることにはならない。綱領の政策部分が基本政策だということなら、「2030年までに「原発ゼロ」」を掲げても、それを基本政策で一致したと言えることになる。

 あるいは天皇問題。民主連合政府が実行するのは、「「国政に関する権能を有しない」などの制限規定の厳格な実施を重視し、天皇の政治利用をはじめ、憲法の条項と精神からの逸脱を是正する」だけである。天皇制の廃止は綱領のどこにもない。だから天皇問題でも基本政策で一致していると言うことは可能である。

 政策を導きだす「理念」のところでは一致しないことが多いだろう。例えば共産党の綱領は大企業に対する規制が必要だという見地だが、民進党は違うだろう。しかしそれは「理念」である。具体的な政策に問題を落としていけば、「大企業を規制します」というような政策はあり得ない。そのために何をするかが政策なのだ。すでに合意しているような「貧困と格差の是正」を共通して求めているわけだから、そのために具体的にやるべきことを打ち出せばいいのである。

 ということで、安保・自衛隊政策を除くと、野党連合政権は、基本政策で一致する政権と堂々と言えるのではないか。問題は、その除かれた部分である。(続)