2017年1月27日

 日米安保の問題は、またあとで論じるとして、とりあえず自衛隊の問題である。共産党が「日米安保と自衛隊に関する独自の立場は野党共闘に持ち込まない」と言っていることは何回も紹介したが、それを聞いていると、日米安保に対する立場と、自衛隊に対する立場を同列に置いているようだが、本音はどうなんだろう。

 日米安保をなくすのが基本政策だというのは共産党にとってゆずれない線であることは理解できる。しかし、自衛隊解消も共産党の基本政策なのだろうか。本気でそんなことを考えているのだろうか。

 今回の大会決議に、「日米安保条約、自衛隊──日本共産党の立場」という項がある。そこで「独自の立場」として言われているのは、安保がどんなに危険なものかを指摘した上で、「日米安保条約をなくしてこそ、日本はアメリカの引き起こす戦争の根拠地から抜け出すことができ、……」云々として、安保廃棄が必要だということである。これは本当に独自の立場であって、野党共闘に持ち込むことができないものである。

 一方、自衛隊についてはどうか。確かに、大会決議で明確にしている自衛隊が憲法違反の存在だという認識も、将来は解消するという考え方も、野党共闘に持ち込むものではないだろう。

 しかし、自衛隊がなくなるまでの期間は、「かなりの長期間」である。だって、まず安保も自衛隊も存在する第一段階がある。野党連合政権などの段階である。これだけだって、他の野党が安保廃棄で一致するまでは続くのだから、「かなりの長期間」だろう。しかも、安保廃棄で合意する政権ができる次の第二段階でも、合意は安保廃棄までであって、自衛隊は存続するのである。国民多数が自衛隊はなくしてほしいと希望するようになるまで存続するのである。

 大会決議の大事なところは、安保については、平和にとって有害であるという害悪をいろいろ並べ立てて、だから廃棄すると言っているが、自衛隊については、それを将来であれ解消する理由としてあげているのは憲法9条に違反するということだけである。すなわち、安保と違って、自衛隊があると平和が守れないから解消するという立場ではないということだ。逆に、侵略されたら自衛隊に頑張ってもらうと書いているということは、平和にとって必要な存在だと認めているということだ。綱領その他で自衛隊のことを「アメリカの指揮下にあって有害」という規定があるが、日米安保が廃棄されればそういう規定も不要になるのであって、自衛隊を解消する理由とはならないのだ。

 それよりも何よりも、「侵略されたら自衛隊に頑張ってもらうというのが基本政策だ」と言えないとしたら、政党としての存在意義に関わるだろう。野党共闘が成功しないだけでなく、政党としての信頼を失うということだ。

 だから、理念として将来の解消があり、憲法違反という認識もあるだろうが、「かなりの長期間」にわたっては、自衛隊を保有し、侵略されたら頑張ってもらうというのが基本政策だと明確にすることが不可欠だと思う。まだ連載は続きます。(続)