2017年11月27日

 というタイトルで、昨日、神戸市北区の九条の会の催しにおいて、柳澤協二さんと対談してきた。その前に柳澤さんの講演があったのだが、それを聞きながら対談の流れをどうしたらいいか考えていて、結局、柳澤さんがなぜ「護憲」になったのかを明らかにすることが大事だと思った次第である。

 だって、今後の国民投票において護憲派が相手にしなければならないのは、圧倒的多数の自衛隊を大事に思っている人びとである。自衛隊を否定的に見る護憲派の信念が揺るがないように、自衛隊を大事だと思う人びとの信念も変わらない。お互い、何十年もかけて形成されてきた信念なのだから、変えようがないのである。

 それなのに、相手の自衛隊に対する考え方を変えさせることによって護憲派に迎え入れるのは、無理のあるやり方だ。迎え入れるどころか、かえって反発を買って、議論にさえ入れないだろう。

 柳澤さんの『抑止力を問う』という本をつくったのが、もう7年以上前。護憲派界隈で話題になって、講演依頼がそっち方面からも来るようになる。だけど、ある県の九条の会からのオファーがあったので柳澤さんに打診したら、「九条の会だけは絶対にイヤ」というものだった。ところが現在、昨日のように、九条の会の催しにも参加していただけるようになっている。

 これって、柳澤さんの自衛隊に対する考え方が変わったからなのか。そうではない。柳澤さんの自衛隊に対する愛情は、年々深まっている。だから真剣に日本の安全保障のことを模索しておられる。

 それでも柳澤さんが変わったのは、護憲派のなかにも自衛隊に愛情を持つ人がいることが伝わってきたからだろう。人を変えるには、どこか共感が必要なのである。相手への共感である。心が通じ合って、ようやく心の本音を出し合って議論し、相互に理解を深めることができる。

 そんなことを感じた一日であった。本日から東京。