2018年3月26日

 前回の記事の続きと言えるかな。まだ12年前までの仕事に縛られていて、現在の私とは関係がないのだけれど、ついつい考えてしまうので。

 共産党が自衛隊の憲法問題について、前回の選挙の際に踏み込んだことはよく知られている。政党としては自衛隊違憲論を貫くが、政権入りした場合、政権としては合憲という立場をとると表明したことである。

 まあ、選挙の忙しい最中のことだったし、みずから表明したものではなく、相手の質問に答えて志位さんが答えたというだけのものだったので、印象に残っていない人も多かろう。聞かれなければいまでもそういう立場であることは誰も知らなかっただろうしね。

 まわりからはいろいろな意見が出たようだ。自衛隊合憲論で社会党が変質したのと同じ道を歩むのかという批判もあった。ただ、共産党としては、社会党と違って政党としては違憲論を貫くのだから大丈夫、ということの表明だったように思う。

 私として感じるのは別のことだ。政権と政党の使い分けが果たして可能なのかということである。

 そう思ったのは、共産党が目指しているのは、野党共闘を進めて、その上に政権をつくるというなのだが、その困難さを思ったからである。自分がまだ共産党本部にいて、代表の一員として野党との政権協議の場に出席したなら何を発言するのだろうかと考えた時、思考が停止してしまったからである。

 政党としては違憲というなら、共産党を代表して協議に出る場合、自衛隊は違憲だという立場を貫くことになる。自衛隊をどう活かすかという議論になった際、専守防衛の範囲内のことだといっても、違憲論のままだと議論をぶちこわしにするしかないだろう。協議から戻ってきて、「違憲論を主張したのか」と問われることになるのだから。

 それとも、政権協議の場合は別扱いということになるのだろうか。政権をとった際の自衛隊の扱いが主題なのだから、政党代表として協議する場合であっても、政権としては合憲という範囲で対処できるとか。

 しかし、野党間の協議といっても、すべてが政権協議ではなく、いろいろなレベルがあるのだ。国会共闘のための協議もあるし(現在の森友問題のように)、政策協議にとどまるものもある(労働法制問題で法案要綱を出した時のようなものだ)。その場合は自衛隊違憲論を貫き、政権協議になった段階で自衛隊合憲論に転換するのだろうか。

 それは難しいよね。だって、国会共闘、政策共闘が進んだとして、その上に政権共闘へと進むことが可能になるのだから、どこかで違憲論から合憲論へと転換するなんて至難の業である。

 野党共闘を重視している共産党のなかでは、きっと真剣な検討が行われているのだろうね。その一部でも知りたいものである。