2018年10月24日

 明日から安倍さんが訪中し、習近平主席と首脳会談を行う予定だ。会談のテーマとして報じられている内容は肯定的なものであり、安倍首相の努力を応援したい。

 例えば海、空の連絡メカニズム。隣り合った国で軍隊同士の予期しない出来事が軍事的な衝突に発展しないことを防ぐためには不可欠の枠組みである。

 あるいは東シナ海ガス田問題での条約等の締結。2008年にせっかく共同開発等で合意したのに(中間線の中国側については中国の事業に日本企業が参加し、線上のものは共同開発)、10年間も放置されていたが、ようやくである。

 海、空の連絡メカニズムについていっても、安倍さんが最初に総理大臣をやった2006年に合意していたのだが、これもようやくである。民主党内閣の時、尖閣にやってきた漁船の船長をどうするかで失敗し、ずっと放っておかれたのだ。

 安倍さんって、総理大臣になって最初の訪問先を中国にすることで、小泉さんの靖国参拝で冷え切っていた日中関係を元に戻したりもした。いろいろ左翼から言われるけれど、評価すべきは評価しないと、国民世論から乖離してしまう。なんでもかんでも安倍さんのやることだから反対というのでは、それなりに存在するコアな反対層の結束は高まるだろうが、その結束ぶりを見て中間層まで違和感を抱く結果になると思う。

 今回の訪中も相当練られたものだと思う。最大の課題は中国の一帯一路構想に日本が関与することだ。

 右翼的な言論者のなかで沸騰しているのがいるけれど、それは国益を考えないものだ。安倍さんは当初、トランプさんと仲良くして日本の国益を守ろうとしたのだけれど、仲良くしても捨てられることがこの間の防衛摩擦で明らかになったので、中国に近づくことで牽制しようとしているのだと感じる。

 昨日も書いたけど、いまはアメリカの勢力圏と中国の勢力圏が争うような時代ではない。その時代の変化をとらえた外交が必要で、安倍さんにはそれをできるだけの柔軟性と判断力がある。見習わなければならないね。