2018年10月25日

 先日、野党の党首が集まって一本化の必要性を確認したのだから、とてもいいことだ。話が進んでほしいと思う。ただ、乗り越えるべき課題は多くて、深い。

 例えば、沖縄県知事選挙で勝ったから野党共闘に弾みがついたという話があるが、これは見当違いも甚だしい。沖縄で勝てたのは、保守も含む共闘が堅持されたことで、県民多数の共感が生まれたからである。

 保守で日米安保も自衛隊も容認する翁長さんが亡くなり、その最期に命を削りながら、後継知事を保守で日米安保も自衛隊も容認するデニーさんか財界の金城さんに譲ろうとした。それに応えてデニーさんが出馬を決意し、オール沖縄から距離を置こうとしていた金城さんが前面に出て応援した。そこに県民が共感したのである。野党共闘の成果がないとは言わないけれども。

 日米安保の重圧に苦しめられている沖縄でさえ、そういう保守の共感がないと勝てないのである。ましてや本土で勝とうとすれば、保守の共感を得るための何倍もの努力が必要とされる。

 ところが、現在めざされている野党共闘というのが、それをどこまで意識しているのか、はなはだ心許ない。紛れもない保守である小沢さんの自由党の地盤沈下で、共闘のなかで存在感が薄れていることが大きいが、それだけではない。

 第一党の立憲民主党についていうと、以前、枝野さんは自分は保守だと発言し、安全保障政策でも宏池会に近いと言っていたように記憶するが、現在の枝野さんを「保守」と思っている国民はほとんどいないだろう。どちらかと言えば左翼抵抗路線の代表だとみなされているように思える。

 選挙を前にして「抵抗」路線が今後とも強まることは避けられない。国民民主党が前国会で対話路線で腰砕けになって批判を浴び、さらに支持率を減らしたので、「やはり抵抗」と思っている指導部も少なくないのだろう。

 だけど、「抵抗」路線は仲間内からは拍手喝采を浴びても、幅広い保守層を獲得する上では役割を果たさない。その部分をどう打ち出していくかが、立憲民主党の課題でもあり、野党共闘の課題でもあろうと思う。

 例えば、外交・安全保障政策。枝野さんがアメリカに行って辺野古の問題で新しい態度を打ち出した。それはいいことで、野党共闘にとっても意味のあることだ。

 しかし、こうやって、いわゆる左翼的な立場だけが注目されるものだから(本当はオール沖縄に見るように保守的も含む国民的な課題なのだが)、「保守」の側面はどんどん弱まることになる。

 沖縄県知事選挙において、野党の党首などが前面に出て演説するなど、目立つようなことはやらなかったとされる。野党の党首が突出すれば保守層が逃げていくという現状では、本土での勝利は難しい。(続)