2016年12月7日

 昨日、本日と、印刷所に入れる原稿をただただ見ている時間を過ごしました。こういうとき、読んではダメなんですね。あくまで、ただひたすら間違いを発見し、修正するための作業だから。

 一つは、『くじらが陸にあがった日』(著/木村陽治)。サブタイトルが「朝倉篤郎聞き書き」となっていることで、非常に限定的に分かる人もいると思いますが、共産党の都議会議員だった朝倉さんの生涯を、都議団長だった木村さんがつづったものです。

朝倉篤郎チラシ1

 いま「野党共闘」が話題になっていますけれど、この本が取り上げる70年代を前後して、先駆的に「野党共闘」があったわけですよね。革新自治体をつくった社共共闘ですが。これを読んでいると、共闘をつくりあげるためには、政策だけでなく共闘にあたる人の人柄、性格というのも大きいなと感じます。いまでもそうでしょうね。

 もう一つは、『マルクス『資本論』の視点で21世紀経済危機の深部を探る』(著/工藤晃)です。この間、『資本主義の終焉』をタイトルにうたう本がヒットしたりしていますが、正統派のマルクス主義者がそういうタイトル、中身で書くものって、そうはないように思います。

工藤晃広告

 この本、半世紀もその立場でやってきた研究者の集大成で、「資本主義的生産様式の終末期的現象がかつてなく大きく」なっていることを解き明かしています。同時に、百数十ページにわたる「研究ノート」付きというのが、この本の売りなんです。工藤さんのような研究者が、何を読み、そこからどんな問題意識をつかみ取り、それが本になるのかという全過程が分かります。

 いずれも来年初頭の発売。どういうわけか、いずれも共産党の幹部だった方の本ですね。なぜ弊社のようなところから出るんでしょうね。