2016年12月20日

 確かにオスプレイの機体に構造的な問題があって、どう操縦しても同種の事故が起きる可能性があるということではないのだろう。だけど、この間の報道で明らかになったことから考えると、機体に問題がないのに同じ事故が起きる可能性があるということのように思え、余計に深刻だと感じる。

 要するに、C130が尾翼から給油ホースを伸ばして、オスプレイの前に出ている給油口と接続し、給油をするわけである。プロペラが回っているヘリコプターに対する給油は、ただでさえホースとプロペラとの接触の危険があるとされるが(ウィキによると2000年の米映画「パーフェクトストーム」ではC130に給油を受けようとして失敗する沿岸警備隊のヘリの話が出て来るが、実話をもとにしているそうである)、飛行中のオスプレイの場合、プロペラ(ローター)はヘリコプターのように上で回っている状態ではなく、前のほうに倒された状態で回っているわけで、その隙間を給油ホースが通っていくわけだ。それをちゃんとやれるように訓練をしているのだと思うが、職人技のような技術が必要で、簡単なものでないことを自覚する必要がある。

 今回、そのC130の給油ホースが、給油口に届くのではなく、何かの拍子にプロペラにぶつかったというわけだ。だから、確かにオスプレイの機体の問題ではないだろう。

 では、なぜそんなことになったのか。米軍の調査結果は報告されていない。本日の朝日新聞に載った防衛省幹部の話によると、「乱気流が原因なのはほぼ間違いないが、他の要素もありうる」とのことだ。

 じゃあ、乱気流のせいだったとして、機体の問題ではないのだから訓練再開ということでいいのだろうか。乱気流が原因だということになると、乱気流が起こらないようにすることは誰にもできないわけで、乱気流のなかを空中給油すれば同じことが起きる可能性があるということである。

 ウィキで調べたばかりで消化していないけれど、「旅客機の場合、ウェザーレーダーと呼ばれる気象レーダーを装備しており、乱気流に遭遇する前にある程度の発見は可能だが、そのレーダーを読み取るためには熟練した技術が必要と言われる」ということだ。C130はどうなんだろうか。

 普通の航空機は乱気流に入らないようにするし、入ってしまえば抜け出すために全力をあげるだろう。C130やオスプレイだって、空中給油をやっているような事態ではない。だから、乱気流下で給油をやったというなら、C130やオスプレイにはウェザーレーダーのようなものは搭載されていないのではないか。搭載されていたのに気づかなかったとすれば熟練度の不足だろうか。

 とりあえず空中給油の訓練はしないということだが、米軍もおそらく、そのあたりの対策をとれずに困っているのではないだろうか。しかし、航続距離の長さが自慢のオスプレイだから、航続距離を伸ばす空中給油は不可欠で、かならず訓練も再開しようとするだろう。

 しかも、このオスプレイは今後、日本全土で低空飛行訓練をすることになっている。低空飛行訓練中にC130からの空中給油の訓練をすることも、いわば常識的なことだ。低空飛行訓練だけでもパイロットに極度の緊張を強いるのに、その上に対策がとれないまま空中給油の訓練をするとなると、いったいどうなるのか。

 稲田さん、機体の問題ではないと説明され、「はい、そうですか」で済ませる問題ではないですよ。自分だけ納得している低空飛行訓練ルートの下にある自治体の連携が急がれる。