2017年12月18日

 共産党が「タウンミーティング」なるものを開始していて、市民の声を聞こうとしている。とても大事な取り組みだと感じる。この間の報道を見ていて、一つだけ注文をしておきたい。

 参加者から共通して出される質問、意見のなかに、「これだけ安全保障環境が厳しいのに、安保条約をなくして大丈夫なのか」というものがある。当然だろう。

 これに対する答えは、例えば本日の「赤旗」によると、こういうものだ。志位さんが語ったという報道である。

 「「日米安保条約が日本を守っているというのは実は神話です。在日米軍は、日本を守ることを任務としておらず、海外への『殴り込み』部隊がその実態なのです」とズバリ。さらに、「トランプ政権がかりに北朝鮮への先制攻撃を開始したら、安保法制=戦争法を発動して、自衛隊が米軍とともに戦うことになる。そうなれば日本に戦争を呼び込むことになってしまいます」と指摘し、憲法違反の安保法制はただちに廃止すること、国民多数の合意で安保条約を廃棄して「日米友好条約」を結ぶという日本共産党の改革の提案を語りました。」

 共産党の立場はそうだろう。ただ、市民が知りたいことの一つは、なぜ安保条約をそう位置づけておきながら、共産党も参加をめざす野党共闘の政権では、その安保条約を容認する立場をとっているのかということではないか。そこに回答がないと、タウンミーティングにふさわしくない。

 考えられる回答は二つだ。私の思考の範囲内のことだけど。

 一つは、野党共闘の政権は、「日本に戦争を呼び込む」安保法制を廃止することを目的とした暫定政権であって、その目的を達成すれば解散・総選挙で国民に信を問い直すのだというもの。安保条約は絶対悪であって、安保法制廃止のため短期間だけ、堪え忍ぶのだということだ。

 ただ、共産党は「国民連合政府」の提唱以来、そういう言い方はしていない。実際、共闘する相手の野党に対して、「これは暫定政権」なんて失礼な物言いはできないだろう。

 もう一つは、共産党が加わる政権では、たとえ安保条約を容認した政権であっても、「戦争を呼び込む」ことにはならないないというものだ。あるいは、少なくとも共産党は、そういう立場で参加するとか。

 ただ、これだと「絶対悪」という位置づけとは矛盾してくる。実際、この記事でも、「戦争を呼び込む」のは安保法制であって安保条約だとは言っていないから、何らかの検討がされているのかもしれない。安保容認の立場に意味を持たせる可能性をめぐってだ。

 しかしこれは、綱領に直結する問題だから、このような態度を打ち出すのは簡単ではないだろう。それにしても、ここで深い解明と提示がないと、共闘相手の野党にも政権をともにするまでの信頼は生まれないし、国民も納得しないのではないか。

 私自身もまだまだ思考が中途半端のようだ。共産党の政権論は安倍政治を転換していくのに大事だと思うから、よく勉強して、来年にでも長期連載をするかな。