2018年4月2日

 日本政策研究センターをご存じだろうか。代表は伊藤哲夫さんといって、日本会議の常任理事(政策委員)を務めている。生長の家が右派的な政治活動を熱心にしていた頃からの活動家で、生長の家が政治活動を停止してからも、日本会議のなかで大事な役割を果たし続けているそうだ。

 私が伊藤さんのお名前を知ったのは、昨年5月1日に発行された同センターのブックレットを読んだ時である。『これがわれらの憲法改正提案だ──護憲派よ、それでも憲法改正に反対か?』というタイトルの本。

 その本のタイトルを見て、「ああ、あれか」と分かるこだわり派は、読者のなかにどれだけいるだろうか。護憲派の一部では、安倍さんの加憲案は日本会議が主導しているという説がまことしやかに流布しているが、その根拠になっているのは、5月1日に出版されたこの本で9条1項2項を維持したまま加憲する案が提示されていて、その翌々日に公表された安倍さんの加憲案と同じものだったことにある。日本政策研究センターが日本会議のシンクタンクと言われるゆえんでもある。

 さて、その日本政策研究センターが出している月刊誌がある。「明日への選択」(600円)という。その最新号(3月号)に、なんと私の『改憲的護憲論』に対する批判論評が掲載されている。なんと5ページも。

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 一般書店では売っておらず、仕方なく(といっても弊社の東京事務所の近くなので時間がかかったわけではない)同センターまで出向いて購入した。買ってからエレベーターに乗るまで、職員の方が礼をしながら見送ってくださって、恐縮である。

 さて、その中身だ。なぜ5ページもの批判をしたのかという問題意識が、その冒頭近くにある。引用してみよう。

 「後ほど明らかにするように、「改憲的護憲論」の正体は、自衛隊を圧倒的に支持する国民世論を踏まえた新種の護憲論であり、そこには国の安全を危うくする毒も含まれている。この新たな護憲論が、旧来の護憲派は中間派国民にどう受け止められ、世論にどんな影響を与えるかは現段階では分からないが、空想的平和主義に安住する旧来の護憲派よりもいささな厄介な相手にも見える』 

 ありがたい評価である。そこで、この論評の中身を、感謝を込めて論じてみたい。(続)