2018年5月21日

 先週までの連載の続きのようなもの。というか、米朝首脳会談まで何回も書くと思う。

 北朝鮮の「体制保障」が焦点となっている。連載でも書いたけれど、これが北朝鮮の体制を武力で倒すようなことはしないという意味なら、あまりにも当然のことであって、保障されるべきであろう。外部から体制転換を図るのは明白な内政干渉であって、許されることではない。

 しかしこれが金一族の支配体制の保障ということなら、それも別の意味での内政干渉になりかねない。ある国で誰が支配者になるかということは、その国の人びとが決めることであって、外部から干渉していいものではないからだ。

 ちょっと想像してみてほしい。あなたが北朝鮮の国民だとしたら、金正恩政権にどういう態度をとるのかということを。

 私だったらきっと、同志を募って革命政党をつくり、政権打倒をめざすと思う。もちろんそれは、私がこの日本で育ち、そういう思想を身につけているからであって、北朝鮮で生まれていたらどうなったかは分からないけれどね。

 だって、10万人を強制収容所に入れるような国なのだ。そんじょそこらの独裁政権とは比べものにならない。日本で「安倍辞めろ」とか「安倍打倒」と叫んでいるような人なら、北朝鮮に住んでいたとして、この体制を受け入れられるはずがない。

 その場合、革命運動が金一族の支配を脅かすまでに発展したとして、外国の人びとはどういう態度をとるべきだろうか。体制保障をするのかということだ。

 リビアでそういう事態になった時、アメリカはカダフィ大佐の側を空爆した。これは内政に対する重大な干渉であって、北朝鮮がそれを怖れるのは理解できる。

 しかしじゃあ、「体制保障」ということで、革命運動の側に対して空爆したとしたらどうか。それだって許されない内政干渉だろう。

 では、政権の側が革命運動に対する弾圧を強化し、強制収容所への政治犯の収容を倍加させたり、大量の流血の事態を引き起こしたりしたらどうなのか。それでも「体制保障」の約束に縛られるのかということだ。

 私が北朝鮮の革命政党の党首だったら、少なくとも「北朝鮮のことは北朝鮮の人びとに任せてほしい。経済援助で政権を延命させるのは内政干渉だ」という立場をとるのだと思う。まあ、程度の問題もあるだろうけれどね。