2018年6月4日

 先週末、あるジャーナリストと大阪でお会いした。『北朝鮮報道のファクトとフェイク』という本を書いてもらうことで合意。楽しみ。

 そこで意気投合したことの一つは、トランプさんは、北朝鮮の人権問題には無頓着でやっていくだろうということだ。それは私がこのブログでも書いたことだが、北朝鮮の人権問題が改善されたところで、トランプさんにとっては一円の得にもならないしね。

 さらに議論したのは、そのやり方が、ただ北朝鮮だけでなく、トランプさんの政治を規律しているということだ。内政外交ともにである。

 だって、トランプさんって、民主主義国とはうまくいっていない。ヨーロッパとの対立を見れば明らかだ。そのジャーナリストが言うには、トランプさんの企業家としての成功も、自由な市場における競争で勝ち上がってきたというのではなく、例えばニューヨーク市長との癒着で仕事と利益を確保するというやり方だったという。

 まあ、「ディール」という考え方そのものが、それを内包しているよね。相手に権限がないと、それはできない。何か合意のために譲歩したとして、それを国内に持ち帰っても世論が納得しないで、合意がひっくり返ると「ディール」にならないわけだ。相手が独裁的な権限を持っている場合に成功するのが「ディール」ということだろう。

 だから、金正恩との「ディール」もうまくいくのかということだ。最初はうまくいくだろうとは思う。譲れる部分があるからだ。

 問題は譲れない部分にさしかかった時だろう。アメリカにとっては、自国の安全だけが譲れないのか、同盟国の安全も譲れないのかが問われる。北朝鮮にとっては、全体主義国家から普通の独裁国家になる程度は譲れるだろうが、金一族の支配が脅かされるのは譲れない。難しく長い交渉になるだろうね。

 ところで、トランプさんが安倍さんをうまくいっているように見えるのは、民主主義国はうまくいかないことの例外なのだろうか。それともトランプ原則が当てはまっていることのあらわれなのだろうか。