2018年6月26日

 先週末、金曜日の夜は「自衛隊を活かす会」の抑止力連続講座、土曜日は仙台で宮城県弁護士九条の会の「自衛隊と憲法」座談会ということで、忙しかったです。そのため月曜日はお休みをいただき、ブログも書きませんでした。この年になると無理できませんからね。

 さて、抑止力連続講座は、防衛研究所戦史研究センター長の石津朋之さんのお話を聞きました。興味深いお話がいろんなテーマで聞けて、勉強になりました。

 個人的に関心を持ったのは、歴史学の分野では、チェンバレンの宥和政策(appeasement policy)の再評価が進んでいるということです。ヒトラーの膨張政策に対して、イギリスのチェンバレン首相が断固として立ち向かうのではなく、宥和政策をとったということで、その後のヒトラーの侵略を許してしまったという、あの宥和政策のことです。1938年のミュンヘン会談で、ドイツがチェコスロバキアのズデーテン地方の併合を求めたのをイギリスが認めたことで、その後、どんどん侵略が拡大していったとされることです。

 石津さんによると、「宥和」と訳されてはいるけれど、国際政治の世界では、もともとの意味である「なだめること」というところから離れて、「弱腰外交」「土下座外交」というふうになっているとか。まあ、そうでしょうね。

 ところがです。現在、歴史学の世界では、それが評価されているそうなんです。当時、イギリスはまだドイツに対抗できるほどの軍備はもっておらず、強硬政策をとったとしてドイツが軍事的にイギリスに歯向かってきたら困った事態になった。宥和政策をとったことで、なんとかドイツと戦えるだけのものを手に入れる時間的な余裕を確保したということらしいです。

 現実をリアルに見つめると、そういうことはあり得るでしょうね。だけど、一度定着した政治的評価というのは、歴史学が発展してもなかなか見直しされることが難しい。

 現在の政治の評価というのも、あれだけ安倍さんへの批判が高まっても、なかなか支持率が下がらないのは、民主党政権時代の評価が定まったみたいになっているからでしょう。鳩山さんなんかは、左からも右からも毛嫌いされていて、その評価は動かしようがない感じです。

 野党がこれから少しでも政権政党としてみなされていくには、民主党政権の総括に真剣に取り組むことから開始しないとダメかもしれません。その上で、「ここはすごかった」と国民が納得できるものを提示しないと、いつまでも現在のような状況が続く可能性があると思います。どうしたらそれができるかですよね。

 今週に連載開始と予告していましたが、来週に延ばします。政治的なものではまったくなく、あくまで商売上の損得を考えた結果です。