2018年6月28日

 私に編集者としての力量がもっとあったなら、いまどうしてもつくりたい本がある。それは立憲民主党の枝野さんと日本共産党の志位さんとの対談本である。

 だって読みたくありませんか。野党共闘をめぐっては、それを切望する声も強いし、難しいだろうというあきらめもあるし、野合だという批判もあるけれど、そういう議論のドンピシャの当事者がこのお二人であるにも関わらず、本音で話し合った気配がないわけで、それを本にできれば読者は歓迎すると思うのです。

 お二人に聞きたいことはたくさんありますよね。いくつか列挙してみましょう。

 まず、次の選挙での共闘のあり方です。立憲は「すみ分け」に止めたいと考えており、共産は「政策協定に基づく相互支援」ということです。最近の報道によると、野党共闘が前面に出た(加えて共産が実働部隊の大半を占めた)新潟県知事選挙では敗北したが、立憲、自民、共産の対決となった東京都の中野区議補選で立憲が圧勝したことから、立憲は独自路線に傾斜しているとされます。立憲は国政選挙においても、共産が対立候補を出したとして自民党の候補に勝てると考えているのか、それとも共産には降りてほしいのか、降りてほしいとすると立憲は見返りに何か与えるのか、共産は政策協定がない場合、必ず候補を立てるのか等々かな。

 立憲が「すみ分け」に止めたいと思う最大の理由は、基本政策でのあまりの違いの大きさにあると思われます。なかでも日米安保、自衛隊政策での違いは、それが平和にとって必要だとする立憲と、それが平和への逆行だとする共産の違いですから、真逆だということになります。共産はそこを、自分たちの独自の立場は野党共闘に持ち込まないとして、安保と自衛隊を容認する姿勢を示しているわけですが、立憲が政策協議に応じないのは、共産のその姿勢を信じていないからなのか(政権に入ると引っかき回されるということなのか)、別の理由からなのか。共産は、一方では綱領を重視して学習運動をしているわけですが、安保と自衛隊をなくすという綱領の路線と、それを容認する野党共闘の路線をどう整合させているのか、等々。

 あとは消費税ですね。先日の党首討論で枝野さんは10%への予定通りの引き上げを求める感じがしたけれど、それで次の選挙を闘うのかということ。共産はそこで一致しなければ野党共闘には応じないという態度を貫くのか、等々。それ以外にもいろいろ聞きたいことがあります。

 ところが、です。もし私に力量があって、そんな本がつくれたとしても、その本の広告は「赤旗」に載せてもらえないんです。がっかりですよね。

 先日、「赤旗」編集委員会の確認事項として、他党の議員が著者に加わっている本の広告は載せないということが伝えられました。共闘対象の野党の人が著者であったとしてもです。(続)