2018年7月30日

 本日、お休みの予定でしたが、仕事の段取りとの関係で、明日を休みにしました。よって、ブログも明日がお休みです。

 先週、出張先の東京でボンヤリと沖縄のことを考えていて、これは大変なことになるかもしれないと思いました。とりあえず問題意識だけ書いておきます。

 11月の県知事選挙では、「オール沖縄」と自民、公明、維新などとの対決構図になることが想定されています。自民党は、「勝てる候補を」ということを候補者選びの基準としていて、それには公明、維新の推薦が得られるのが不可欠ということで、宜野湾市長の佐喜真氏を選んだということになっています。

 まあ、そうなんだろうなと、あまり疑問に思わなかったのですが、なんだか変だと思ったんです。だって、これまで名前が挙がったなかでも、公明、維新の推薦が得られる候補って、もっといました。「勝てる候補」というなら、甲子園優勝校の監督とか、佐喜真氏よりずっと有名な人もいました。

 それなのに、なぜ、佐喜真氏なのか。それは、普天間基地のある宜野湾市長を担ぐことによって、「勝てる論戦」をできる──そんな思惑からきたものではないでしょうか。

 ここ数回の沖縄県知事選挙では、普天間基地の辺野古への移設に反対するか容認するかが対立構図でした。おそらく自民党は、これを覆すまでには至らないまでも、佐喜真氏によって新たな変数を持ち込もうとしていると思われます。

 それは何か。宜野湾市民の命に責任を負っている市長としての責任を果たさせてほしい、そのために普天間基地を撤去させる現実味のある選択肢を選んでほしいと佐喜真氏に訴えさせることでしょう。

 この間、普天間基地所属のヘリなどから小学校などへの落下事故があり、市民の危機感が高まっています。このまま子どもを通わせ続けることへの不安が強まっています。

 だからこそ普天間基地は即時閉鎖すべきということを訴えているわけですが、じゃあ替わりに、普天間の基地機能はどうするのかという点では、なかなか難しい面があります。そんなことはアメリカが考えるべきことだという立場もあるし、グアムへという主張もあるし、いざという時の輸送機能を日本側が提供すればいいという考え方もあります。

 ただしかし、それをアメリカや日本の政府が採用するかというと、そう簡単ではないという現実の壁が立ちはだかります。そういう状況下で、市民の命を守らせてほしいという佐喜真さんの市長としての立場というのは、かなり心に響くものがあるような気がします。命に責任を負わないオール沖縄と批判してくるんでしょう。

 考え抜いた人選です。どうすればいいのかということは、これから考えます。

2018年7月27日

 本日は朝から外に出て、夜になるまで時間刻みで何人もの方とお会いします。いったい何人になるんでしょう。ずっと外まわりなので、東京が涼しくなっていて、良かったです。

 ということで、たいした記事は書けないので、スルーしていただいてもいいです。

 本日、お会いするメインは、初めてお会いする複数の元政府官僚です。合計5人程度の官僚の本をつくろうと思っているのです。この間、官僚の評判ががた落ちですが、気骨のある方はまだまだいるのですね。そういう方々が、「いまの日本の国家戦略は間違っている」と直言するような本をつくりたいな。つくることでは合意していて、今回、はじめてお会いする方への挨拶とご相談という感じです。乞うご期待。

 それと中国関係の人と、これも複数お会いします。弊社の本づくりでヒントを得ようということと、弊社では出せないような本づくりのご相談とか。来年、天安門事件30年です。その日が近づくにつれ、堂々と批判する人、黙り込む人、いろいろ出るでしょうけれど、何か出したいですよね。文革批判の本はいいものを出せそうなんですけれど、それとタイアップして。

 あとは、弊社を大きくする計画のためにお会いする人とか、外部に編集を頼んでつくってもらったことのお礼とか、いろいろ。明後日は、著名な学者のみなさんが日本の右傾化を研究する会をつくっていて、私もそこで日本会議の歴史観について報告をしたことがあるのですが、白井聡さんが報告をされるというので聞きに行きます。そして、台風が直撃する前に戻ろうという計画です。

 では、来週。月曜日は代休をとるので、ブログは火曜日から。

2018年7月26日

 サブタイトルは「北朝鮮の核・ミサイル問題にどう臨むか」。いよいよ明日発売です。アマゾンは明後日ですが、予約は受け付けているので購入できます。

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 首脳会談が6月12日でしたからね。一か月で本になったということです。月刊誌の世界みたい。

 「粗製濫造」を心配する声もあるかもしれませんが、ご心配ありません。入念につくられた本です。

 もともと、この問題の第一人者ばかりを集めて、昨年のクリスマスにシンポジウムを開いたわけで、最初の水準が高いんです。安全保障と防衛の現場の第一人者、核問題の第一人者、北朝鮮経済の第一人者が揃っているのです。

 それを本にする過程で、米朝首脳会談が決まりました。誰も予想しなかった会談が実現したわけですから、それ以前の議論なんて役に立たないだろうと言う人がいるかもしれません。

 だけど、著者の4人は、問題の平和的解決を願ってきた人ばかりです。だから、平和的解決で合意したことは喜ぶことではあれ、「予想が覆った」というものではありません。

 しかも、4人誰もが、90年代以降の北朝鮮核問題と第一線で関わってきた人ばかりであり、問題のむずかしさも熟知しているのです。首脳会談で合意があったからといって、舞い上がって冷静な分析をできなくなるような著者ではありません。

 是非、手にとってご覧ください。損はさせません。

 このテーマは連打するつもりです。次の本の著者人は、普通のことでは驚かないような人でも、「あっ!!」と驚くでしょう。お楽しみに。

 ところで、京都は暑いんです。写真を見てください。弊社の編集部というのは、管理部門や営業部門と異なり、建て増ししたところにあって、日光が直撃するんです。朝に出勤したとき、すでに38度くらいになっていて、一日冷房をかけ続けても、見ていただけば分かるように、34度とか35度の線で推移します。まあ、外に面している壁の部分だからであって、部屋の中心部はもっと下がりますけれど、だからこそその落差が体を直撃する感じです。

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 ということで、私は本日から、「涼しくなった」と言われる東京へ。京都の編集部のみなさん、ゴメンナサイね。

2018年7月25日

 岸田さんが総裁選不出馬を表明し、さらに安倍さんを支持するとのことです。その安倍さんは、憲法問題が総裁選の争点になると明言しています。ということは、秋以降、やはり憲法が国民的な議論になる時代がやってきますね。

 護憲派に石破さんを支えるという度量があれば、また違った展開もあるでしょう。実際、石破さんは本格的な改憲論者だけど、本格的なものをめざすだけに、現状の憲法論議で加憲することには異議を唱えているわけですから、加憲阻止でタッグを組める相手だと思います。だけど、多くの護憲派にとっては、それは毒を食らうようなもので、受け入れることができないでしょうからね。加憲か加憲反対かという構図にならざるを得ないと思います。

 安倍さんがモリカケ問題から逃げ切れたのは、本人が言ったように、「贈収賄ではない」からです。「私や妻が関係していたら辞任する」という言明だったのが、いつのまにか贈収賄でなければ辞任しないということになったのを捉え、「ずるい」と言う感覚はあるでしょう。だけど、常識的に言って、政治家というのはいろいろな案件に関わるのであって、「関係していたから辞任せよ」というのでは、野党議員が地元の陳情を受けて、それを実現することだった問題になってきます。確かに、安倍さんの言明が変わったのは、潔くないことでしょうが、やはり「辞任」問題にまではならないのが普通の感覚でしょう。

 もし、安倍さんが追い詰められる可能性があったとしたら、加計問題での文書改ざんでした。安倍さん自身が直接に関わっているかどうかは別にして、贈収賄と同様、そこに明白な法律の侵犯があれば、行政の長として何らかの責任が浮上したはずです。だけど、大阪地検が立件しないことを決めた時点で、それもなくなったわけです。

 情けないと言えばそうでしょうが、法律違反行為があるかないかが決め手になるのは当然だと思います。「関係していたら」の言葉に引きずられ、関係の証明に躍起になったことは、反省しなければならないでしょう。ただし、「関係があった」というだけでなく、「その関係が国民の常識から大いに外れている」という追及は国民の心を捉えた面もあるわけで、今後もボディーブロウのように効いてくるかもしれません。

 いずれにせよ、憲法ですよ。日本の永い歴史のなかで、はじめて、国民の一票が国のあり方を左右する一票になるっていう感じで、わくわくします。まだまだやるべきことが山積みです。

2018年7月24日

 この二つの関係をどう見るかで、ずっと悩んできた。とりわけ最近、立憲主義が幅を利かせていて、民主主義に任せていては安倍さんのように法を犯す人が出てくるから立憲主義が大事なのだ、という論点が目立っているので、余計に悩んでいる。

 だって、いくら安倍さんが立憲主義を理解していないとか違反しているとか主張しても、この民主主義の世の中で、国民多数の支持を得て政権を執り続けているわけだ。結局、立憲主義って、少数派が「それでも正しいのは自分だ」と自己満足する道具のように見えてしまう。

 だから、どちらも活かす考え方がないのかと思ってきた。立憲主義のほうが民主主義より上というのではない考え方だ。

 そうしたら、「赤旗」の7月3日付に、成蹊大学名誉教授の加藤節さん(政治哲学)のインタビューが載っていて、非常に納得のいくものだった。加藤さんは安倍さんが大学時代に教えたことがあるという先生で、舌鋒鋭い安倍批判で知られている。

 その加藤さん、現在の日本の政治状況を、「法が終わるところ、暴政が始まる」というジョン・ロックの言葉を引いて説明している。そして、法の支配、立憲主義の大切さを説くわけだ。

 しかし同時に、「『法の支配』といっても、結局は『人の支配』なのです」という現実を直視する。そして、「立憲主義には、安倍首相のように法を信頼しない人が出てきたら、簡単に無に帰する脆弱さがある」ときびしい評価を加える。「立憲主義が成り立たなくなる」わけだ。

 問題は、「そのとき、どうするか」。これがインタビューの核心である。以下、引用。

 「権力が法を破って暴走するときに、ロックが唯一の歯止めにしたのが『抵抗権』『革命権』です。結局、民主主義(リベラル・デモクラシー)による歯止めしかない。『法の支配』が『人の支配』に転化したとき、それを乗り越える運動としての民主主義が重要になります。『憲法守れ』『法を守れ』と国民の多数が声を上げて『不法な権力』を乗り越えていく方法しかないのです。それによって野党をわれわれが支えていかなければ力にならない。立憲主義を強化していくためには『抵抗権』や『革命権』を極致とする民主主義が重要だというのがロックからのメッセージなのです。」

 一つひとつは当たり前のことを言っておられるのだが、民主主義と立憲主義の関係という視点で見ると、大変説得的だと考える。だから「赤旗」はやめられない。