2018年6月7日

 出張中で忙しいので、お手軽な記事でご容赦ください。お手軽といっても、仕事に関する記事でして、仕事そのものには私の全精力をつぎ込んでいるわけですから、記事の背景にあるものは半端ではありません。

 北朝鮮の核・ミサイル問題がこれからどんどん政治の焦点になっていきますが、なんと7月初めからの一か月の間に、関係する本を3冊も出します。偶然という要素もあるんですけど。それを刊行順にご紹介。

 7月1日刊行は、『核兵器ではなく花をください──エピソードで綴る日米の交流と戦争の両面史』(菅野光公/著)。『地雷ではなく花をください』という話題になった本がありましたが、その著者に了解をとってタイトルを決めさせていただきました。

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 「両面史」って聞いたことがないでしょ。歴史って、1つの出来事を肯定的に捉えるか否定的に捉えるかで、全然違ったものになる場合がありますよね。この本はそうではなくて、日米の歴史には戦争という側面もあれば交流という側面があったことを描くものです。戦争の時期も交流の時期もあったというのではなく、1つの出来事のなかに両面があるという立場の本です。

 交流の絆として、日本からは桜と日本人形がアメリカに贈られ、アメリカからはハナミズキと青い目の人形が贈られたことは有名です。これって交流の側面ですが、戦争の時期になると、日本では青い目の人形が「敵」になって、竹槍で突かれるような対象になるんです。交流の象徴が戦争の象徴になる。でも、その時期にだって、その人形を大切に守った人もいたんです。戦争の象徴だったけれど、やはり交流の象徴だったんです。そういう視点で日米関係史を論じた本です。

 6月12日の会談の結果と関係する記述があるので、その日を待って印刷に入るということになっています。綱渡り的。

 2冊目が、『核兵器禁止条約を使いこなす』です。著者は安斎育郎、林田光弘、木村朗の3氏。

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 昨年、7月7日に核兵器禁止条約が締結されてから1か月もしない時期に(8月6日にあわせて)、条約文の日英対照付きで『核兵器禁止条約の意義と課題』(冨田宏治)を出しました。今年も出します。

 第一部が論考集で、「核兵器禁止条約の過去、現在、未来」、第二部が鼎談で、「世界を変える核兵器禁止条約の使い方」です。戦後の原水爆禁止運動を牽引してきた安斎さんと、これから牽引していく26歳の林田さんを含む本ですから、未来性が感じられますよね。

 ただ、鼎談の4テーマのうち、「米朝首脳会談を受けてどうするのか」という部分は、当然まだなんです。残りをその日までに仕上げておいて、その部分だけ12日以降二集中的に作業するという、これも綱渡り的。

 表紙はまだ作成途上にありますが、共産党の志位委員長が国連会議で撮影したものを使わせていただきたく、本人のご了解を得たところです。以下のクレジットを入れます。(続)

表紙写真:核兵器禁止条約のための国連会議(第1期)の会場で、会議をボイコットした日本政府代表の机に置かれた折り鶴。「#wish you were here(あなたがここにいてほしい)」と書かれている。撮影・提供は志位和夫氏。