2018年7月3日

 執筆者が自民党の国会議員だというなら、話は分かるんです。だって、その自民党の政治を打倒しようとしているのが共産党であり、「赤旗」なんですから。

 自民党の現職議員はどんな形でも「赤旗」に好意的に載せない──それが大方針であることを知ったのは、もう11年以上前にさかのぼります。私がかもがわ出版に入社し、最初の本である『我、自衛隊を愛す 故に、憲法9条を守る──防衛省元幹部3人の志』を出した時です。

 護憲問題で新しいアプローチをした本だから、販売その他でも新しいアプローチをしようとしました。そこで、本の帯での推薦文を加藤紘一さん(故人)にお願いしたのです。言わずと知れた自民党の元幹事長、元防衛庁長官です。きっと無理だろうなと思いながら議員会館宛てにお手紙を送ったのですが、光速でOKというご返事が来ました。画像の通りです。推薦文の内容は以下の通り。

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 「私は、憲法に自衛力をもつことを明記すべきだと思っている。しかし、憲法の書き換えは、歴史上大きな断絶があるときにしか出来ない。『平和外交基本宣言』としての現行憲法を書き換えてもいいという国内外の信頼感は、まだ熟成されていない。この本の著者3氏の言葉には、温かな血が通っている。『国を愛する。国民を守る』という決意の一つの形がここにある。」

 いま見ても、心が打たれます。おかげで本は注目され、8刷りくらいまでいったでしょうか。

 ところで、著者の一人は、自民党のタカ派の国防族だった箕輪登元防衛政務次官で、本自体の広告は、著者のお名前とともに「赤旗」広告に載ったのです。ところが、加藤さんが推薦文を書いていることは広告に書いてはいけないということでした。その違いの基準は、箕輪さんが元職で、加藤さんが現職だからだというものでした。

 この方針は徹底していて、「赤旗」だけにとどまりません。共産党系列の取次である新日本図書を通じて、共産党の県・地区組織や、いわゆる「民主書店」に配本するのですが、その際、この「帯」は外して流通することになってしまいました。びっくりでしょう。

 まあ、現実に闘っているわけだから、そういうこともあるかなと自分を納得させることになります。しかし、この数年、自民党の大幹部だった野中広務さんや古賀誠さんなども「赤旗」に登場しているわけで(元職ですけど)、現職なら何が何でも掲載拒否ということでいいのだろうかとは思いますよね。

 「帯」をめぐっては、別の本で別の体験をしました。それは明日。

 『9条「加憲」案への対抗軸を探る』はアマゾンで「通常1〜2か月以内に発送します。」と表示されているので、さらに品不足になっているように見えますが、そんなことはありませんので、ご注文くださいね。(ほら、午後3時時点で、「在庫在り」に変わりました。(続)