2018年7月17日

 2週間ほど前になるが、私が『憲法九条の軍事戦略』(平凡社新書、2013年)を出した際、真っ先に講演会に呼んでくれた岡山のお医者さんの団体の責任者の方と大阪でお会いする機会があった。大阪で集まりがあったとかで。

 いや、本当にあんなチャレンジングな本を出したのに、そうやって受け入れてもらえたわけだから、「この道を進んでいこう」と確信することになった機会だった。そしてずっと迷いなく(笑)進んできた。

 お話ししながらふと思い出したのだが、その講演会のタイトルは、おそらく「9条と自衛隊を両立させていいのか」というようなものだった。最後に感想文を書いてもらったのだが、「両立させてはならないという講演だと思って訊きに来たので、びっくりした」という感想もあったことを今でも記憶している。

 そうだよね。誰もが両立させてはならないと思い込んできたところにチャレンジしたのだから、ハレーションも半端でなかったと思う。

 ところが、だ。その岡山の方とお会いした前日、京都のある「3000万人署名の会」に呼ばれて講演したのだが、与えられたテーマが「憲法9条と自衛隊の共存を探る!?」というものだった。

 そう、まだ「!?」が付いているけれど、そういうテーマを主催者から与えられるまでになっているのである。しかも「3000万人署名の会」である。

 この会、すでに町民の半分近い署名を集めている。それでも町内在住者に限ると4分の1程度だということで、本気で過半数をめざしているところだ。

 そして、本気でそこをめざそうとすると、実際の署名集めをした経験からして、「憲法9条と自衛隊の共存を探る!?」ということに真剣にならないといけないと考えたそうなのだ。

 考えの異なる人と対峙することになる実際の経験が、そういう思想上の飛躍を生み出すというわけだね。やはり「この道を進んでいこう」と確信することになった。