2018年7月24日

 この二つの関係をどう見るかで、ずっと悩んできた。とりわけ最近、立憲主義が幅を利かせていて、民主主義に任せていては安倍さんのように法を犯す人が出てくるから立憲主義が大事なのだ、という論点が目立っているので、余計に悩んでいる。

 だって、いくら安倍さんが立憲主義を理解していないとか違反しているとか主張しても、この民主主義の世の中で、国民多数の支持を得て政権を執り続けているわけだ。結局、立憲主義って、少数派が「それでも正しいのは自分だ」と自己満足する道具のように見えてしまう。

 だから、どちらも活かす考え方がないのかと思ってきた。立憲主義のほうが民主主義より上というのではない考え方だ。

 そうしたら、「赤旗」の7月3日付に、成蹊大学名誉教授の加藤節さん(政治哲学)のインタビューが載っていて、非常に納得のいくものだった。加藤さんは安倍さんが大学時代に教えたことがあるという先生で、舌鋒鋭い安倍批判で知られている。

 その加藤さん、現在の日本の政治状況を、「法が終わるところ、暴政が始まる」というジョン・ロックの言葉を引いて説明している。そして、法の支配、立憲主義の大切さを説くわけだ。

 しかし同時に、「『法の支配』といっても、結局は『人の支配』なのです」という現実を直視する。そして、「立憲主義には、安倍首相のように法を信頼しない人が出てきたら、簡単に無に帰する脆弱さがある」ときびしい評価を加える。「立憲主義が成り立たなくなる」わけだ。

 問題は、「そのとき、どうするか」。これがインタビューの核心である。以下、引用。

 「権力が法を破って暴走するときに、ロックが唯一の歯止めにしたのが『抵抗権』『革命権』です。結局、民主主義(リベラル・デモクラシー)による歯止めしかない。『法の支配』が『人の支配』に転化したとき、それを乗り越える運動としての民主主義が重要になります。『憲法守れ』『法を守れ』と国民の多数が声を上げて『不法な権力』を乗り越えていく方法しかないのです。それによって野党をわれわれが支えていかなければ力にならない。立憲主義を強化していくためには『抵抗権』や『革命権』を極致とする民主主義が重要だというのがロックからのメッセージなのです。」

 一つひとつは当たり前のことを言っておられるのだが、民主主義と立憲主義の関係という視点で見ると、大変説得的だと考える。だから「赤旗」はやめられない。