2014年9月19日

 スコットランドの行方が気になるけど、午後から会議なので、ブログ記事は別テーマで。昨日の続き。

 日本は、当初は植民地支配される対象であった。不平等条約を押しつけられたりして、植民地になるのを余儀なくされようとした。

 だけど、幕末から明治にかけて、みんながんばったんだね。植民地にされないためには欧米のような国家にならないとダメだと自覚し、いろんな努力をしたわけだ。不平等条約といっても、その交渉過程での江戸幕府の人の発言などを読むと、すごく論理的でがんばっていたんだなと思う。さらに明治維新をへて、欧米に使節団を送っていろいろ吸収もして、いわゆる「富国強兵」の道を歩んでいく。

 日露戦争では、欧米のつくった戦時国際法を守ることが、欧米型の国家になりつつあることを知らせるために必要だった。だから、イギリスなどの武官を招いて戦艦に乗せたりもしたり、捕虜を人道的に扱って模範のような評価を受けたりもした。

 この歴史にはさまざまな見方、評価はあるだろう。だけど、アジアのなかで植民地とされなかったことには誇るべきことであって、私はそういう意味で日本の近現代史は全体として肯定的に見なければならないと思う。

 問題は、このなかで、植民地支配をする側に回ってしまったことだ。というか、当時は植民地を支配するのが近代国家の証のようなところがあったわけで、ロシアと争って朝鮮半島を支配することによって、日本は欧米の仲間入りを果たしたとも言えよう。こうして、朝鮮半島を日本が植民地としたことは、欧米から承認されるわけである。

 ところが、日本に支配された朝鮮・韓国は、欧米からは近代国家とみなされていなかったとはいえ、つい数年前までは、日本と同水準の国家だったのだ。何千年もの間、戦争もしたけれど友好関係もあって、同等のつきあいがあったのである。その日本から支配されたことは、朝鮮半島の人々を特別に傷つけたに違いない。

 よく、日本は朝鮮半島を支配したのではなく、同じ日本人として扱ったのだという人がいる。これって、この連載のどこかで書いたように、たとえば慰安婦問題でも日本人と同じに扱わず、成人前の少女まで慰安婦にしたことに見られるように、事実とは異なるものだ。

 同時に、同じ水準の国に支配されることの意味は、もっと深く考えるべきものだ。たとえば第二次大戦でドイツはフランスを侵略し、占領したし、傀儡政権をつくったりもしたけど、植民地にはしなかった。もし日本が朝鮮半島でやったように、フランス人にドイツ語を使わせたり、ドイツ風の名前をつけさせたり、学校でドイツ語しか使わせなかったりしたら、いったいどうなるだろうか。日本の朝鮮半島植民地支配というのは、だから、普通の植民地支配とは異なるのである。

 慰安婦問題って、韓国以外でもいろいろ問題になってきたけれど、他の国の問題は、もう国と国との間の外交問題にはならなくなっている。そのなかで韓国だけが問題を引きずるのは、日本が植民地支配したことが背景にあるのだと思う。それ抜きに韓国の慰安婦問題を論じることはできない。