2015年12月9日

 「自衛隊を活かす会」は来年1月30日(土)、札幌でシンポジウムをすることになっています。ホームページではすでに紹介済みです。

20160130シンポ_ネット掲載版

 これは、「新安保法制の予想される発動事例の検証」と銘打って開始したシリーズ企画の2回目です。第1回は、今月22日(火)、南シナ海問題をとりあげますが、申込者が殺到してキャンセル待ち状態。札幌の方は広い会場でやりますので、とくに事前予約は必要としません。

 6月の関西企画に続く地方企画ですが、札幌でやることにしたのは、当初、北海道の自衛隊が駆けつけ警護の任務を付与され、南スーダンに5月から派遣されそうだったからです。参議院選挙を意識して、半年後に伸ばされそうですが、予定通り実施しますので、札幌と周辺の方はどうぞお越し下さい。

 自衛隊を活かす会のメンバー以外に、元幹部自衛官(職場との関係でお名前は出していませんが、すでに決まっています)が駆けつけ警護問題を、スーダン出身の方が紛争地域が日本に何を期待しているかを語ります。この12月、南スーダンに派遣された自衛隊で交代で戻ってくる部隊があるので、そこに取材して現地の最新の様子もお伝えできると思います。

 外務省の渡航情報を見れば分かるように、南スーダンは現在、首都のジュバを除いて、レベル4の「退避勧告」が出ています。「退避してください。渡航は止めてください」というものですね。ジュバだってレベル3の「渡航中止勧告」です。

 そこで国連PKOが「住民保護」を任務にして活動しているわけですが、誰が保護すべき住民で、誰が排除すべき「敵」かが分からない状態です。イラクに派遣された自衛隊の場合も、南スーダンと同様に復興支援が任務だったのですが、それでもあわや殺すか、殺されるかという場面がありました。現在の南スーダンは、当時のイラクと比べても、派遣された自衛隊をめぐる状況はきびしいです。そこに、新たに成立した戦争法の具体化として、自衛隊の任務に「駆けつけ警護」を加えるというわけですから、どうなっていくかは見えています。

 では、戦争法を廃止すればいいかというと、それだけではダメだということが悩ましい。いま述べたように、これまで自衛隊がこれまで殺し、殺されなかったのが、ほとんど偶然なのです。現在の自衛隊は、戦争法以前、現行法にもとづき派遣された部隊であって、戦争が11本すべて廃止されたからといって、危険が去るわけではないのです。

 しかも、南スーダン派遣は、民主党政権のときに決まったことです。さらに、たとえ駆けつけ警護の任務が付与されても、南スーダンへの自衛隊派遣は継続案件なので、国会の承認が不要です。参議院選挙で野党が多数を占め、派遣を承認しないというやり方が通用しません。

 よほど、南スーダン問題の現状や展望を明らかにすることができなければ、成立した戦争法が発動されるという「実績」ができてしまいます。どうやって運動をしていくのか、覚悟が求められますね。