2016年6月2日

 昨日の記者会見を受けて、本日の各紙は、アベノミクスが最大争点だという見出しを掲げていますね。野党もそんな感じ。

 それでいいんでしょうか。いや、争点の一つではあると思いますが。

 だってそもそも、増税を延期すると決めて、その信を参議院選挙で問うって、安倍さんが記者会見で言ったことそのままです。安倍さんが選挙で勝利するために描いた争点、対決構図をそのままメディアがもってきて、「これが争点だ!」って言っても、安倍さんの戦略に乗せられるだけじゃないでしょうか。メディアの狙いがそこにあるなら、仕方ないんですけど。

 1回目の増税延期もそうだったですよね。それで総選挙に突入して安倍さんが大勝したわけです。

 それから少し時間がたって、アベノミクスの限界が見えていることは確かだと思います。問題点は指摘しやすくなっています。

 だけど、昨日の会見でも安倍さんが言ったように、なぜ増税を延期するかといえば、個人消費を落ち込ませたくないからですよね。個人消費を伸ばさなければならないという点では、与野党は同じ方向を向いている。

 もちろん、どうやって個人消費が伸ばすかをめぐって、別の選択肢を提示することは当然でしょう。ただ、安倍さんが経済界に直接に賃上げを働きかけたり、保育士給与の引き上げをめざしたりしているわけで、4野党と根本的に違うということは言いづらいと感じます。残業代ゼロ法案についても、とりあえずは給与の高い層を対象にしているので、いまの世論動向だと、普通以下の給与の労働者には支持されかねない面もあります。

 そういう状況下で、政権をとったのに失敗し、その総括もできていない民進党、政権をとったこともない他の野党が、国民の支持を獲得するのは簡単ではありません。「こっちの方が給与があがる」と主張しても、信頼性に欠けると思うんです。民主党政権時代の失敗をくり返さない保障はどこにあるのかと思われてしまう。

 いや、争点にして闘うのは当然なんですよ。だけど、安倍さんのこれだけの高支持率を覆す材料としては、かなり力不足だと感じます。

 私はやはり、昨日の記事でも書いたとおり、最大争点には「憲法改正」をもってこないとダメだと思います。安倍さんの思惑は、アベノミクスを争点にして、あわよくば参議院でも3分の2を獲得し、憲法改正発議に持ち込むことなんですから、そこを訴えることが大事なのではないでしょうか。