2016年6月20日

 一昨日、「対米従属の謎」と題してお話ししてきました。その前に、「ザ・思いやり」というタイトルの映画が上映されたので、それを受けて、なぜ日本だけがそんなにアメリカに屈辱的な姿勢をとるのかという「謎」をお話ししたわけです。それでも最初は思いやり予算の話でした。以下のような新聞報道を資料として配付したんです。

(以下、新聞報道)
 「日米地位協定上は支払い義務のない負担で、昭和53年から計上され、……28年度は1920億円になっている」
 「日本の負担が米軍が駐留する国の中で突出して高いことは、米国防総省が2004年に公表した報告書が示している。(以下、日本74.5%、サウジ64.8%、韓国40%、ドイツ32.6%という数字)」
 「トランプ氏は「なぜ100%ではないのか」と全額負担を求めるが、それは米軍将兵の人件費や作戦費まで日本が負担することを意味する。「米将兵の人件費まで日本が持てば、米軍は日本の『傭兵』になってしまう」(元自衛隊幹部)」
 「日本の負担は、……「安保ただ乗り論」への反論材料でもある。さらに、沖縄の基地問題にみられるように国土を提供することの「重み」や政治的コストは数字に代えがたいものがある」
 「トランプ氏に欠けているのは、日米同盟によって、米国自身が死活的な国益を確保しているという視点だ。「米国の世界の貿易額のうち、約6割がアジア太平洋諸国であり、その国益を維持するのが在日米軍のプレゼンスだ。引けば損をするのは米国だ」(元防衛大臣)」
 「日本国内には約130カ所の米軍基地がある。……日本は「米軍の地球規模での作戦行動を支える上で、代えることができない戦略的根拠地」(防衛省幹部)というわけだ」
(以上、引用終わり)

 まあ、トランプ氏の主張の問題点を言い当てていますよね。どこの新聞だと思いますか。「赤旗」でしょうか。残念、違うんです。私が毎日愛読している産経新聞の一面左肩の記事なんですよ(5.25付)。

 トランプさんが出てきて、本音で言いたいことを言っているので、日米同盟にしがみついてきた人たちも、いま少し焦っているんですね。そういう人たちからも本音が出始めているのかもしれません。

 産経の記事は、最後に、キヤノングローバル研究所の宮家研究主幹の次のような言葉を紹介しています。
 「「同盟解体」は今の時点では現実味が乏しい。だが、暴言を聞き流すだけでは、いつの日か現実のものとなりかねない」

 そうなんです。日米同盟の存在そのものを問うことが、これから本格的に問題になってくると思います。左と右と立場は正反対でも、何らかの「共闘」が可能になるかもしれませんね。その時代に備えなくっちゃね。