2016年6月6日

 大手メディアに載っていないので、あまり騒がれていないが、6月3日、参議院香川選挙区の候補者擁立をめぐり、民進党と共産党が結んだ合意がある。言わずと知れたことだが、唯一、共産党の人が候補者になった選挙区だ。知られていないので、まず全文を。

基本的事項の確認書
 本参議院選挙を通して、安保法制の廃止及び憲法違反の閣議決定の撤回を目指す。同時にアベノミクスの失敗と弊害を追及し、安倍政権の打倒を目指す。そのために野党4党の共闘路線を重視し、有権者の正しい理解を求めるため、以下の両者は04年共産党新綱領の趣旨に従い、改めて以下を確認する。
(1)今日の日本社会に必要なのは社会主義的変革ではなく、資本主義の枠内での民主的改革であり、私有財産の保障が基本となる。
(2)平和外交を重視するが、日米安保条約の廃棄や自衛隊の解消という共産党の政策は野党共闘に持ち込まない。
(3)天皇制を含めた現行憲法の全条項を守る。天皇制のあり方は、国民の総意によって決せられるものである。
(4)一党独裁制を否定し、議会制民主主義及び選挙による政権交代制を堅持する。
(5)地方自治の確立、労働基本権の擁護、男女平等、信教の自由及び政教分離原則の徹底を図る。
2016年6月3日
日本共産党香川県委員会 委員長松原昭夫
民進党香川県総支部連合会 代表小川淳也

 「04年共産党新綱領の趣旨に従い」確認するとなっているように、共産党にとっては自明のことの確認ということだろう。だけど、民進党はというか世論の多数は、共産党が資本主義の枠内でやっていくと綱領に書いていることは知らないし、憲法擁護といった場合、そこに天皇制が含まれることも知らない。だから、共産党の候補を推すという場合、こうやって丁寧にやっていくしかないんだろうね。

 「日米安保条約の廃棄や自衛隊の解消という共産党の政策は野党共闘に持ち込まない」と明言したことは大事だ。だが、その運用は簡単ではないだろう。香川の候補者は日米安保廃棄とか自衛隊解消を政策として主張しなくなるだろうけど、他の選挙区ではどうなるのかというか、全国的な政策をどう掲げるかという問題が残る。

 つまり、当面の政策は「平和外交」に限るのか、それとも、侵略されたら自衛隊を出動させ、日米安保を発動するということを当面の政策として位置づけるのか。まあ、難しいけれど、一歩一歩進んでいる感じはしますね。