2017年4月26日

 共産党との共闘路線を進んでいることを理由に、民進党を離党した長島さん。ネットで流れるインタビューなどを見ると、かなりズレていると思います。

 長島さんの認識では、民進党は共産党に引きずられて左翼化しているということになっています。それが長島さんの保守思想と合わなくなっているとか。長島さんは、民進党が左翼化した根拠として、TPP反対や共謀罪反対などをあげておられるわけですが、大事なことを見落としていますよね。

 それは何かというと、左翼化しているかどうかの最大の指標は安全保障問題だと思いますが、そこがどうなのかを何も語っていないことです。この問題では、共産党が安保と自衛隊についての共産党の立場を持ち込まないという表明があったから、野党共闘が実現しているということです。

 安全保障問題で野党で一致しているのは戦争法の廃止のみ。普天間基地の辺野古への移設という重大問題さえ一致していません。つまり、野党が政権をとったとしても、変わるのは戦争法がなくなるというだけなんです。それはつまり、2年前までの自民党の政策に復帰するということです。

 これって、バリバリの保守政党の政策ではありませんか。左翼化の対極にあるものです。

 民進党の問題は、共産党のこの対応によって、保守の枠内でやっていくことを保障されながら、豊かなものを何も示せていないことだと思います。安保と自衛隊の維持を前提にして、しかし安全保障とは何かということをトコトン突き詰め、安保と自衛隊をどう使いこなすのかということを提示できていないのです。これって本当は、長島さんがやるべきことだったのに、何も生み出せなかったわけです。

 他の問題も同じです。森友問題でも、民進党議員の質問を見ていると、確かに長島さんが指摘するような問題を感じることがあります。週刊誌の報道を根拠にして追及するような感じがある。本当は、森友問題にあらわれた安倍政治の本質的な問題は何かを解き明かし、民進党は、右傾化思想を持つ絶対権力者を官僚や政治家がただただ支える政治のあり方を転換し、「こんな政治のあり方、国家のあり方を示すのだ」と言わなければならないのに、そういうことができていません。

 でも、それって、共産党の責任ではないし、野党共闘路線が生み出したものでもありません。いまの民進党が抱えている問題そのものです。目の前の政局にだけ縛られて、国のあり方をどうするかということを考える人がいないのです。

 そしてそういう民進党の現状は、長島さんにも責任の一端があるでしょう。それを共産党の責任にしてはいけません。

 私は、もし野党共闘が政権を獲得するほどに成功するためには、民進党は保守的な要素を維持していなければならないと思っています。多様性が大事なんです。民進党が共産党と同じような政策になったら、左翼的な人には魅力的だと映るでしょうし、野党共闘もやりやすくなるのかもしれません。しかし、それって、小手先ではうまくいくけれど、有権者の離反は招くという結果を生み出すことになるでしょう。有権者はそんな共闘に何の魅力も感じないでしょう。

 だから、長島さんには民進党にいてほしかったんです。他の保守派の人々には、民進党内でがんばってほしいと思います。