2017年7月4日

 週末は選挙で盛り上がっていたけれど、どのテレビ局も、香港返還20年の話題は欠かさなかったようだ。当然だろうね。

 論調はどれも同じ。1国2制度で半世紀は高度な自治を保障するということで出発したはずなのに、いまや中国の干渉が激しく、1国ばかりが強調され、2制度のほうが崩壊寸前というものだった。

 20年前、多少は希望があった。共産主義と資本主義が出会うことで、何か新しいものが生まれるのではと期待した人もいた。時間が経過することで(半世紀のうちには)、中国も少しは民主主義に向かうだろうと考える人もいた。

 しかし、現実は正反対の方向に進んでいる。自由の抑圧だ。

 そして、その推進力になっているのは、中国が圧倒的に経済力をつけてきたことである。当初、香港には経済力があるので、その意思を中国も尊重するだろうと思われていたわけである。しかし、経済力において中国が逆転したことにより、香港が依存するようになり、「自由や民主主義よりも経済」みたいになっているのだろう。

 しかも、その経済というのが、まさに中国流である。強いもののための経済だ。テレビでは、一部屋5億円のマンションがある一方(外国人や中国の富裕層向け)、青年が狭い部屋に何人もクラス様子が映っていた。

 そう、共産中国が、抑圧と格差を香港にもたらしているのである。中国とは付き合わなければならないが、ケンカしながら付き合う手法を早く身につけるべきだろう。

 それなりに立派だと思ったのは、返還20年をテーマにした、日本共産党の「赤旗」の連載である(2日から本日までの上中下)。

 香港の10年後を描いた映画「十年」の監督などに取材し、1国2制度の崩壊などを声として紹介している。記者の言葉としても「見る人に香港が徐々に浸食される恐怖感を与える」と書いている。中国からの留学生が香港の自由にふれて、それを大切なものとするようなことも指摘される。

 選挙結果に酔いしれて、この記事、読まれていないかもしれないけど、こういう見方をしているということを、街中でも堂々と言ってほしいよね。「赤旗」も中国を等身大に描けるようになったわけだから。まさか「社会主義をめざしている」なんて時代に戻らないでほしい。期待します。