2017年7月13日

 本日、午前中は会議。東京と京都の間でテレビ会議である。

 午後、3人の方とお会いするが、その最初は内藤功弁護士。自衛隊違憲判決の出た長沼訴訟をはじめ、自衛隊関連の訴訟では、常に内藤さんの名前が中心にある。弊社からも『憲法九条裁判闘争史』という名著を出しておられる。

http://www.kamogawa.co.jp/kensaku/syoseki/ka/0575.html

 その本をつくったとき、不勉強を反省させられた。例えば長沼訴訟で自衛隊は憲法九条が保持しないとした「戦力」にあたるとされたわけであるが、内藤さんが弁護人として追及したのは、自衛隊がただの「戦力」だということではなかった。そうではなくて、自衛隊が米軍の事実上指揮下にあって、その作戦も米軍を補完するものであるということだった。

 つまり政府は、日本防衛のために必要最小限度の実力組織は「戦力」とはいえないという論理を組み立てていたわけだが、内藤さんは日本防衛のためであっても実力組織は違憲という論理で闘ったわけではなかったということだ。日本防衛のためのものになっていないことを追及したのだ。そのため、そういう発言をしていた空自の源田実氏などを法廷に呼び、証言してもらったというわけだ。

 イラク訴訟の名古屋高裁判決でも違憲とされたのは武装した米兵の輸送である。ということは、自衛隊の合憲論、違憲論さまざまあるが、日本防衛のための実力組織が違憲だということは、少なくとも裁判では焦点になってこなかった。実際、日本防衛もというか、日本国民の命や財産を守る行為を憲法違反だと認定するのって、いくら九条があってもそう簡単なことではないだろう。だから、みんないろいろ苦しんできたわけだし。

 それを知ったのが5年前で、それ以降、長沼裁判のことをもっと知りたいと思っていたけど、忙しくてなかなか時間がとれなかった。だけどいま書いている本のなかで、私としてはじめて自衛隊の憲法問題に踏み込むことにしたので、勉強することにした。

 そのため、すいれん舎から出ている「憲法9条事件資料集成 1」を読もうと思った。長沼訴訟の全記録である。これ以上の資料はないけれど、何と言っても値段が高い。15万円+税。とても買えない。これを置いている図書館を探して、関西にもいくつかあったのだけれど、図書館での利用はいろいろ制約もあるから、自宅でしばらく読み漁れるようにしたいと思ったわけ。それで内藤さんにお電話したら、予想通り、すいれん舎から贈呈を受けておられて、お借りできることになった。

 どれほどの分量なのか、予想もつかない。段ボール箱一つで足りるんだろうか。