2017年7月26日

 先週末の土曜日だったでしょうか、NHKでやっていた「AIに聞いてみた。どうすんのよ、ニッポン」を見ましたか。有働アナとマツコ・デラックスさんが中心になって議論していました。以下のように宣伝されていました。

 「日本の閉塞感を打破する手がかりを求めて、NHKは「社会問題解決型AI(人工知能)」を開発した。パターン認識と呼ばれる手法で700万を超えるデータをAIが解析したところ、驚きの結果が!そこから導き出されたのは「40代ひとり暮らしを減らせば日本がよくなる」といった驚きの提言の数々だった。それは何を意味するのか?日本は本当に良くなるのか?」

 データの数が半端じゃありませんね。同様のことは大学の研究室でもやっているところがあるみたいですが、さすがNHKでして、その何十倍、何百倍ものデータを入力したそうです。

 「驚きの結果」として、「40代ひとり暮らしが日本を滅ぼす」以外に、こんなものも。「健康になりたければ病院を減らせ」「ラブホテルが多いと女性が活躍する」。

 それで、AIがこういう結果を出したというので、実際に病院を減らした北海道の夕張市を調べてみたら、健康度が増していた(寿命も増えていたかな?)とか。病院がなくなったというので、健康を維持するためのいろいろな取り組みが増えて、住民が参加するようになったそうです。

 まあ、いろんな反論はあり得るでしょう。健康を左右するのは病院数だけじゃないだろうとか、病院数と住民の健康がそんなにきれいに比例しているのかとか。ただ、病院数が減った地域において高い割合で健康度が高まっているのは事実なんでしょう。それをどう見るかということですね。

 大事だと思うのは、AIにやらせることで、人間の常識では出てこない結果が出てきて、それを人間の側が考えることができるということだと思います。これだけ日本社会が閉塞しているわけだから、常識に囚われない探究も大事でしょう。

 その番組を見ながら思いだしていたのは、「自衛隊を活かす会」でつくった『新・日米安保論』(集英社新書)の議論の際、呼びかけ人の一人である加藤朗さん(桜美林大学教授)が、「AIに核の傘が効いているのかということを考えさせてみたい」と言っておられたことでした。予想通り、本日さっそく、そのNHKのディレクターとつながっていないかというメールが来ましたよ。

 これをテーマにやろうとすると、まず準備が半端じゃないでしょうね。今回のは700万のデータといいますけど、このテーマの場合、世界中のデータが必要になるでしょうから。核兵器が誕生して以来なので、72年分に限定はできるでしょうけどね。

 それに、常識に囚われない答が出てきたら、どうするんでしょうね。「世界中の国が核兵器を持ったとき初めて核抑止は成り立つ」だとか。でも、やってみる価値はあるでしょうね。やれるとしたらおカネと人のあるNHKだけでしょうし。加藤さん、メール出しましたか?