2013年6月18日

 これに民主党の細野さんまで加わって議論になっている。いろんな論点がある。

 最初は、田中均元外務審議官が、日本政治の右傾化が進んでいると思われていると発言した。それに対して首相が、田中さんが一時帰国した拉致被害者を北朝鮮にいったん戻すべきだと主張していたことを取り上げ、「外交を語る資格はない」と一蹴したのだ。

 これに細野さんが、最高権力者の権力を考えたとき、民間人の発言に対しては自制すべきだと横やりをいれた。首相の批判は、こんどは細野さんに向かうことになり、自民党は戦争をしたがっているという過去の発言がやり玉にあがる。細野さんは、自分が懸念しているのは言論の自由なのに、的外れだとやり返している。

 もともとの当事者だった田中さんは、本日の毎日新聞によると、「信念を持って語っている」そうだ。そして、これからも民間人の立場で発言したいと表明しているとのこと。

 まず気づくのは、安倍さんの批判がずれていることだ。田中さんが言ったのは、日本政治の右傾化のことである。それには何も答えないままで、官僚の過去の言動をあげつらう。細野さんの発言も、民間人の発言に対する総理大臣の批判のありようという問題なのに、そこは回避したまま、細野さん個人の言動への批判をおこなっている。議論の土俵をずらしているわけである。

 これは、自分に投げかけられている言葉を理解する能力がないのか、理解したとしてもそれに反論することはしないのか(右傾化は肯定すべき事実で反論の対象ではないと考えているとか、民間人に対する総理の発言としては行きすぎだと自覚しているとか)、反論することはできるけれども別の問題を持ちだした方が議論では勝ちになると思っているのか。そのうちのどれなんだろう。

 まあ、短い言葉のやりとりだからね。フェイスブックの議論を通じて、何か共通の理解に達しようというのは、そもそも無理なのかもしれない。というか、安倍さんの議論のやり方は、意見の相違は認め合いつつ、どうしたら共通の理解を得るのかという姿勢に欠けるものではある。だけど、TPPデモに対するレッテル張りの問題もあったけど、首相の頭脳の程度が伝わってくるというのも、リアルというか悲しいというか。

 ただ、日朝交渉を取り仕切った田中さんが、その過程をもっと語らないとダメだとは、ずっと思っている。それで、これまで2回ほど電話してお願いしたことはあるんだけど、これまでは断られ続けてきた。だけど、この問題を通じて、田中さんがやはり残しておかねばならないという気持ちになるなら、安倍さんの挑発も意味のあるものだったということになるかもしれない。また、近く、お電話しなくっちゃ。