2013年6月20日

本日午前は、この本のデザイナー、そして営業と打ち合わせ。この秋、左翼の再生を問う3部作を刊行する予定だが、そのうちの1冊である。

マルクスのいっていることは、彼の生きていた100年以上前の話ではなく、現代に生きるものだということは、よく議論される。それを証明するいろいろな著作もある。

ただしかし、そうはいっても、じゃあマルクスを若者が読んでみたとして、それが伝わってくるかというと、そう簡単ではない。たとえば、聞いたことのない名前の新聞なんかが冒頭にでてきたりするわけだが、当時のドイツ人にとってみると、当たり前の名前なんだろうが、知らないで目にすると、違和感がだけがつのる。そもそもドイツの話だってしらないで読んでいる人も多いし。

それだけじゃない。言葉遣いだって違う。資本主義が勃興する当時の労働者の気分というものがあって、マルクスはそういう労働者に向かって言葉を伝えているわけだが、いま日本にいる労働者とか若者とかの気分って、だいぶ違うと思う。「労働者諸君!」と訳しても、「誰のこと?」という感じの受け止めだろう。

もちろん、「これを伝えれば分かる」という中身もまったく違うような気がする。たとえば、人が生きるのに必要な栄養摂取量って、いまの日本ではカロリーとかタンパク質とかビタミンとかであらわされる。だけど、当時のドイツでは、炭素とか窒素が基準になっていたらしく、それを目にしてもやはり違和感がある。

だから、いまの若者が、「これは自分のことを書いている」と思えるようなものが、どうしても必要なのである。もちろん、マルクスの訳にはいろいろあっていいのだけれどね。

帯は「言葉が伝わらなければ革命はできない」かな。「マルクスがぼくたちの言葉で語ってくれている」かな。