2014年7月16日

 集団的自衛権をめぐって二日間の国会審議がおこなわれた。本日の毎日新聞1面は、「首相「戦闘地で武器使用」」「集団的自衛権 衝突拡大の懸念」という見出しで報じている。これ、共産党の小池さんの質問のことなのだが、少し違和感があるので書いておく。

 「戦闘地で武器を使用することって、見出しになるようなことなのか」というのが、まず率直な感想である。だって、集団的自衛権を行使するということは、戦争をしに行くのである。武力の行使、武器の使用をしにいくのである。当然、行く場所は戦闘現場だ。というか、戦闘現場ではなくても、自衛隊が行って武力を行使すれば、そこが戦闘現場になるのである。

 機雷の掃海だって、まず相手国が機雷を敷設する行為自体、戦争行為なのである。敵国の海軍が入ってこないよう機雷を敷設するのだから当然である。機雷の敷設を空に喩えるとすると、敵国の軍用機が入ってこないように対空砲火を行っているのと同じような状態だ。

 だから、機雷が敷設された海は戦闘地域というか、戦闘海域である。そこに行って機雷を爆破するということは、軍用機で対空ミサイル基地を爆破する行為と似たようなものである。戦闘現場に行って戦闘行為をするのだ。

 そういうことをやるのだと政府が明言しているのに、「戦闘地で武器使用」というのが見出しになるほどのことだというのが、どうも理解できない。集団的自衛権の行使とは、「戦闘地で武器使用」することそのものでしょ。

 たしかに、政府が戦闘現場に行かないと言っているケースがある。だけどそれは、集団的自衛権(閣議決定でいうと「3、憲法9条の下で許容される自衛の措置」)とはまったく関係がない。湾岸戦争のような場合について(閣議決定の「2、国際社会の平和と安定への一層の貢献」)、多国籍軍が武力行使をしているときに、自衛隊は後方支援をおこなうのだが、その支援地域が戦闘現場になれば活動を中断するということである。

 だから、もちろん、そういう場合も事実上、活動を中断することはできないだろう、そうなると武力行使せざるを得ないではないかとして、政府の論理をあばくのはありなのだ。ひとつの追及材料ではある。

 だけど、戦闘現場に行って武力行使をするのだと政府が言っているときに、集団的自衛権の枠組みとは異なる国際平和協力の分野の答弁をとりあげ、それが最大の問題であるかのように報道するのは、どうも理由がよく分からないのである。毎日新聞は、見出しでも分かるように、集団的自衛権の場合の武力行使と、PKOなどの武力行使と、区別がついていないのではなかろうか。

 小池さんの質問では、侵略に加担するかどうかが、とっても面白くて、意味があったと思う。それは明日に書きたい。