2014年7月7日

 先日、このブログで、「学校図書館向けに憲法の本を」を書いたとき、ある中学校の司書の方からメールをいただきました。「萌え」系のキャラを使って本をつくってほしいというご要望でした。今回の本は、「萌え」系ではありませんが、十分に子どもに通用するものを使っているので、「こんなのですよ」とお知らせするメールをお送りしようとしたのですが、戻ってくるんです。何か間違っているかもしれませんので、もう一度、メールをください。

 さて、そういう前書きを書いたので、関連する話題でないといけません。ということで、本日は、来年ではなく再来年の本のことです。

 タイトルは未定ですが、つけるとすると、以下のふたつが候補。「世界の言葉で「平和」ってなんていうの?」あるいは「世界に100通りの平和があったら」。

 おなじ「平和」という言葉を使っていても、国によってかなりニュアンスの違いがあるんですよ。それを相互に理解し合っていないと、「平和がいいね」と語り合っていても、ほとんど通じないままです。そこが分かるような本をめざしています。

 そのことで、先週末、平和学を大学で教えておられる先生のところに伺いました。いっぱい、いいお話を聞かせていただきました。

 たとえば、ギリシャ、ローマで生まれた「平和」という言葉が、ヘブライ語になるくらいまでは、「正義」という中身を色濃く含んでいたそうです。ところが、東に行くにつれて、「正義」概念が薄くなり、最東端の日本では、ほとんど「妥協」に近づいてくるんだということでした。軍事の概念がどんどん薄れてくるということでもあります。

 そういう面はありますよね。原義がそうだというだけでなく、たとえば欧州では、フランスのレジスタンスに見られるように、平和って、武器をもって闘いとるという要素があるわけです。

 でも、原義がそうであっても、変わってくる場合もある。中国でも平和の原義は融和的な要素が多かったそうですが、現在の中国では、日本軍と戦争して闘いとったのが平和ですから、平和と軍拡が一体のものとなっている。

 そこらあたりを深く掘り下げ、小学校の高学年や中学生に考えさせるような本をつくりたいと思っています。そして、平和という言葉への理解は異なっていても、というか異なるということを理解し合うことによって、お互いに平和な世界をつくれるのだという希望を、子どもたちにもってもらえるような本にしたいです。

 (追記)なお最近、「学校司書って、こんな仕事」という本を出しました。私が担当したわけではありませんが、優れものなので紹介しておきます。