2014年7月31日

 北海道新聞7月27日付2面左肩に、集団的自衛権に関する大きな記事がのっている。「政府、説明を覆す。「戦闘現場に派遣するわけではない。危険イメージ除去懸命」というタイトル。

 そのタイトルでも分かるように、集団的自衛権の憲法解釈を変える閣議決定をしておきながら、その後の安倍政権が、それまでの説明を変えるような説明をしていることの分析記事である。いくつもそういう事例がある。

 たとえば、安倍首相は、14日の国会審議で「戦闘している現場に補給しろというニーズは事実上無い」と答弁した。小野寺防衛相が20日のテレビで「機雷除去は、その地域が相当安定しないとできない」と発言した。

 その記事の最後に、私が出てきている。

 「集団的自衛権の深層」の著書があるジャーナリストの松竹伸幸さんは「安倍政権は13日の滋賀県知事選挙の敗北を受け、世論の批判を意識し始めた」と推測。その上で「政府がいくら『自衛隊の活動は大きく変えない』と説明しても実際に憲法解釈を変更した。米国から出動要請があれば、時の政権の意向で自衛隊がこれまでと違った危険地域に派遣できるようになった本質は変わらない」と批判している。

 「自衛隊を活かす会」の事務局として公開している私の携帯に電話があったのだ。閣議決定に関連して見解を取材したいといわれるので、「いや、自衛隊を活かす会は、閣議決定についてとくにコメントは出していない」と答えたら、「いえいえ、松竹さんの見解を聞きたいのだ」ということでびっくり。

 そういえば、先日、東京新聞の特報部からも電話があって、地表観測衛星「だいち2号」の軍事利用について、私の見解を聞きたいということだった。とっても驚いて、「なぜ私のような素人に聞くんですか」と問い返したら、「そんなことないでしょ。集団的自衛権の本も書いているし、軍事ジャーナリストはみんな高齢化していて、松竹さんのような人の出現を待っていたんですよ」などと言われたのだ。

 北海道新聞も「肩書は軍事ジャーナリストでいいですか」と聞くものだから、「そんな、武器なんかひとつもさわったことさえないんだから、やめてください」とやんわりと断ったんです。いやあ、ほんとうに驚きである。

 でも、集団的自衛権の本って、アマゾンでも書店でも、「軍事」に分類されることが多いのである。そういう誤解も生まれるよな。

 だけど、これは同時に、護憲の側で、軍事を語れる人がいなくなっていることの反映でもある。そこは、「自衛隊を活かす会」の活動のなかで、なんとか突破していかなければ。